マリー・アントワネットやエリザベートのような実在人物もいれば、アンドロメダ(ギリシア神話)のような神話・伝説・物語に登場する姫君も扱われている。
歴史や物語を彩るヒロインたちの華やかな人生は、読んでいて楽しい。何しろお姫様を紹介する本であるから、解説にやや彼女たちを贔屓目に見るような箇所もあるような気はするが、分かりやすく読みやすく値段も手頃と、まず気軽に楽しめる一冊。
愛らしい姫君もいれば、男をたぶらかして権勢を手にする悪女もいる。
呪いにより、予言の力を持ちながらそれを信じて貰えず、数々の惨事を目の当たりにして生きたカッサンドラ(「イリアス」「アガメムノン」)、虫が大好きな虫愛づる姫君(「堤中納言物語」)などなど、個性的な姫君たちが顔を揃えている。
私のお薦めはエレクトラ(「エレクトラ」「オレステス」)とクリームヒルト(「ヴォルスンガ・サガ」「ニーベルンゲンの歌」)。お二方とも、その執念には頭が下がる。こと、クリームヒルトの鬼気迫る復讐劇は後味の悪さも備えて恐ろしい。
気軽に読める分、専門的な知識や姫君の詳細な事績を求める人には向かないが、時間が空いた時にちょっと読んでみるには丁度よい本だ。