永遠の王子様、動く三浦涼介が刊行された。
ただこれは「動く三浦涼介」であって「動く三浦涼介の写真集」ではない。
三浦涼介というのは、モデルとして現代トップレベルの一人である。本来なら川合千春、大沢健、吉川ひなの、いしだ壱成、武田真治、櫻田宗久、黒田勇樹、土屋アンナ(←当然のことながら、いずれもモデル絶頂期限定である)といったライン上に並ぶ人だった。しかし時代の趨勢で、モデルの多角的活動が強いられる中、ファッションショーに現れることもなければ芸術写真のモデルを務めることもない、ドラマやら映画へとやや的外れなメディアへの露出を余儀なくされてしまった、イマドキの複雑な事情を抱えるモデルである。
こういった被写体を動画に収めるのは実に難しい。
こと彼のように、性格が男らしい女顔のモデルとなると、動きや漂う空気が男っぽくて、どうも静止画のときのそれと色が違ってきてしまう。その点本作も、アイドルオッカケの黄色い声に媚びたに終始してしまっているところがなんとも悲しい。
アイドルの安っぽいイメージビデオと割り切れば十分だが、そんなものは所詮繰り返しの鑑賞に堪えない。
彼はそんなモデルではないはずだ。
こういったモデルの場合、同シリーズ「瀬戸康史」でのカメラワークで多用された「スローモーション」が実に効果的だ。当然モデルもあまり動かさない。しかし本作では彼の得意な「ダンスシーン」に重点が置かれてしまったため、モデル自身の動きが多く、それが三浦のモデル(トルソー)としての魅力をやや削減してしまった。アイドル三浦のプライヴェートを中途半端にでも紹介するのがよかったのか、それともモデル三浦をクローズアップすることに徹底すべきであったのか、判断の分かれるところである。
隣に住む「三浦さん家の涼介くん」の私生活に興味がある人にはお薦めだが、神がかった「モデル三浦涼介」を鑑賞したい人にはやや難ありといった一作。
ぜひ「モデル三浦涼介」をたっぷりと収めた一作の到来を願わずにはいられない。
某TV局「ワーズワース」における千崎達也のような映像美が撮れなくなって久しい現代にそれを願うのは無謀かもしれないが、三浦があの時代にいればとつくづく悔やまれてならない。