高校生の頃の恋愛感情の持ち方なんて,どうしてもキレイなものを求めちゃうもの。主人公は進学校に通う設定だからなおさらだ。憧れの対象が,実は裏で悩みにまみれ,傷つけられ続けたとしても,それをまっすぐに受け入れられるかどうか?
当時の自分の感覚なら,すごく難しい。進学したり仕事を持てば,付き合いの幅の広がりと共に,そんな状況はいくらでも体験するだろうけど。それを高校生である二人に体験させてしまうという点で,この本のドラマ性は十分あると思う。
ただ,ひとつ受け入れがたいのは,「うつ」に関する表層的でしかない記述。作者は精神疾患に関する取材を行っていないのでは。家族や友人にひとりでも患者が居れば,同じ主題でも,もっと深く突っ込んだ話の作り方があったと思われる。それが惜しい。