とにかく整理がうまい。アメリカ哲学の代名詞であるといってよいプラグマティズムの、これは最高の入門書である。
最近、思想・学問業界での再評価が高まっているらしいパース(特にソシュールとは異なる独自の記号論に注目)からはじまり、日本でも人気の高いジェイムズ(人は泣くから悲しいのだ!)、ミード(自己とは社会関係であり、集団活動こそ個の人生だ)、デューイ(教育とは生きる手段、問題解決の方法を自発的に習得すること)ときて、分析哲学の流れと交差するのでちょっと難解ながらクワイン(素朴な「実在」経験主義から知と経験の全体主義へ)が入り、最後に現代思想の最重要人物のひとりであるローティー(会話を継続し、誤解を修正し、他者と上手につきあおう)でしめる。代表選手の要点を過不足なく紹介していくのである。
序論的な第一章では、こうした実践的な哲学が誕生してくる歴史的な背景、すなわちアメリカというルツボ的・サラダボウル的・オーケストラ的な国の成立事情とその後の展開がごく簡単に再確認されている。「日本人」からみると本当にびっくりするくらい多種多様な民族と文化が集結したこの国では、だから真理の多元論、探究の果てしなき試行錯誤性を強調する思想がきたえられてきたのだと著者はいうのである。そして、にもかかわらずどこかでキリスト教的な〈神〉の実在が背後にいるのではないか、とピルグリム・ファーザーズの面影も想起させるようにしながら、本書ではそれぞれの哲学者の宗教観と真理観に肉迫していく。すごく、おもしろかった。