今まで邦書では学部レベルの産業組織論の良いテキストがあまりなかったように思うのですが、本書はコンパクトでありながらも、産業組織論で重要なモデルや考え方をきちんと抑えた良書に仕上がっています。他のアルマシリーズと同じく記述も非常に読みやすく、私自身(ほとんど内容を忘れていた)「産業組織論の課題と歴史」(1章)を楽しみながら読ませて頂きました。各章にちりばめられたコラムでは現実のケースが紹介されており、産業組織論と競争政策を理解する上で参考になること間違いナシです。また、中盤以降本格的な分析ツールとして用いられるゲーム理論について1章分をさいて解説しているのも、初学者にとってはありがたいでしょう。本書をきっかけに産業組織論に興味をもたれた方は、次の1冊として同じ有斐閣から出版されている
『新しい産業組織論』(小田切)
『競争の戦略と政策』(柳川&川濱)
のどちらかへ進まれることをお勧めします。前者は産業組織論の中級テキスト(邦書)の決定版。後者は本書の著者の一人である柳川隆先生が、法学者とタッグを組んで執筆した競争政策&法律に関する画期的なテキストです。