感情論を排した銀行システム改善の具体的提案書として、価値の高い一冊である。
プライムレートは、市場金利の変動に柔軟に対応できるシステムである一方、
信用リスクの変動を反映しない硬直的な金利システムであるという事実が理解できた。
本書は、問題点を指摘するだけに留まらず、より効率的な銀行システムにするための
具体的な提案「信用プライムレートの創設、公的金融の改善」がなされており、
示唆に富む。一般に公開されていない豊富な統計データを使った提案で、説得力がある。
確かに、信用プライムレートと公的利子補給制度が普及すれば、これまで銀行にとって
「貸したくても貸せなかった」中小企業にお金が回るようになると思える。ただ、これで
貸し渋り問題の全面的な解決策にはなりえない。貸す価値があるのに貸せなかった
企業にお金が流れることになっても、貸す価値のない企業に、金が回らない事実は
変わらないだろう。