本作を最初に観た時の衝撃は忘れない。それまでのヒーロー的戦争映画ではなく、暗い画質の中、冒頭から弾丸と爆薬があたりを飛び回るド迫力に圧倒されたものだ。DVDでもその魅力は存分に堪能できたが、ようやくブルーレイでの登場だ。これがまたDVDをも上回る凄まじさ!映像面はすでにレストアされていたDVDと比較すると「きれいなものが完璧に綺麗になった」という感想だが、音響面が大きく違う。特に5.1chを装備されているなら、何としても買い直したい1枚だと思う。スティーヴンの卓越した演出力はもとより、マイケル・カーンの見事な編集やJ・ウィリアムズの重厚なスコア(かつ戦闘場面は全く音楽なし)、ヤヌス・カミンスキーの抑えた色合いの撮影もHDだからこそ際立つ。スティーヴンはLA&ハリウッド撮影派だが、今回はオマハビーチをアイルランドで、市街戦をロンドン・ハットフィールドで撮った。ヨーロッパ戦線の映像化ということで、空の色が違うLA周辺では厳しかったのだろう。T・ハンクスとスティーヴンはハットフィールドが気に入ってしまい、ふたりで組んだTVドラマ「バンド・オブ・ブラザーズ」でも使用していた。この完成度はもはやドキュメンタリー映画のように響いてくる。特典映像に収録されている90分のドキュメント「シューティング・ウォー」で、J・フォードが撮った「パールハーバー」のメイキングを観ることが出来るが、これは実際の映像とドラマ(特撮)の融合だった。本作はそういう意味では100%ドラマなのに、ズシン!と心に響く。クリントの「硫黄島からの手紙」と共に、戦後に撮られた戦争作品では最上位に位置する傑作といえるだろう。実際は和気あいあいの撮影風景を収めたメイキングも含めて、星は満点です。