ブックレビュー社
業再編の手段としての未公開株式への投資,M&Aなど今注目が集まり始めたビジネス手法をケースを含め解説
経営破綻で一時国有化された日本長期信用銀行が,リップルウッド社に買収された事件は,日本国民に衝撃を与えた。同社は米国の新興プライベート・エクイティ会社で,同社が行ったことは,投資家を集めてファンドを作り「日本長期信用銀行」という未公開株式(プライベート・エクイティ)に投資したものだ。同社は何年か後新生銀行の株式の売却をして,投資家に利益配当をする。長銀が新生銀行に生まれ変わる過程で同社は,巨額の費用を払ってコンサルティング会社に内容を調査させ,事業計画を立案させ,また外部から八城氏をスカウトして社長に据えた。
経営破綻で一時国有化された日本長期信用銀行が,リップルウッド社に買収された事件は,日本国民に衝撃を与えた。同社は米国の新興プライベート・エクイティ会社で,同社が行ったことは,投資家を集めてファンドを作り「日本長期信用銀行」という未公開株式(プライベート・エクイティ)に投資したものだ。同社は何年か後新生銀行の株式の売却をして,投資家に利益配当をする。長銀が新生銀行に生まれ変わる過程で同社は,巨額の費用を払ってコンサルティング会社に内容を調査させ,事業計画を立案させ,また外部から八城氏をスカウトして社長に据えた。
この経緯がいみじくもプライベート・エクイティという,米国で1980年代以降本格的に発展した,新たなビジネス・モデルの特徴を示している。つまりこれは企業に対する投資であるが,会社のエキスパート達が経営に深く関与し「金も出すが口も出す,いや人まで出す」,投資先の会社の事業そのもののリスクを負う投資だ。米国では実際に高い投資利回り実績をあげていることで市場は急拡大している。
このビジネス・モデルは日本でも成功するか。企業の売買に関する法制面,税制面は整備されつつあり,企業買収に抵抗感が薄れてきた,投資機会が少ない状況が続いているなどの追い風はある。ただし,投資先企業に口を出したり,人を出すといったプライベート・エクイティの基幹的機能を果たす人材がいないという根本的な問題があるという。
本書を一言で評せばエキサイティングな本だ。それは,いかにも米国らしい新たなビジネス・モデルの面白さを,豊富な実例を挙げながら余すところなく伝えていることが一つ。加えてこの投資手法が流行すれば,逼塞状態にある日本産業界の事業ばかりでなく産業再編への鍵の一つとなるかもしれない,あるいは大企業に埋もれている経験豊富な優秀な人材の新しい活躍の場が生まれるかもしれないと感じさせるからだ。時代の流れに敏感でありたいと考えるビジネスマン必読の書だ。 (富士通総研 取締役研究主幹 寺田 欣司)
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内容(「BOOK」データベースより)
M&A手法の駆使と積極的な経済参画・支援。銀行の収益源、機関投資家の投資先、そしてMBOなど新しい事業再編の手段として、注目を集めるビジネスの全貌を解説。
内容(「MARC」データベースより)
プライベート・エクイティにいち早く携わってきた日米16人の実務家が、基礎解説だけでなく、J.P.モルガンが自社の案件をみずから執筆したケーススタディなどの数多くの実例や、現場の声を紹介する。