プライドは連載当初から興味を持って読んでいた、というか。
初めから表裏一体のような二人のヒロイン、志緒と萌を描き、二人の心からの戦いを描いたのにぐいぐいと引きずり込まれた。
一条ゆかり氏の実力と、これまでの実績が花開いたような作品だと思う。
5巻は史緒と神野の婚約発覚を知った萌が、史緒に殺意を抱いて掴みかかっていくシーンから始まる。
「プライド」は様々な人間の心の葛藤模様が描かれ、衝撃的なシーンが多いが、またこの5巻も見事に読者をひきつけ離さない。そこからSRMの史緒、蘭丸、萌の分裂と新しい道が開けて行く。史緒はウィーンへ。蘭丸はニューヨークへ。そして萌はミラノへと・・・。それぞれ道は違っていてもこの三人に共通しているのは音楽に対する情熱。そして、それぞれ異なる才能に恵まれている彼らが今までにない状況に放り込まれ、またそこから這い上がっていく姿がかすかに透けて見える。這い上がれるか落ちていくかは、まあ、神のみぞ知るというところだろうが・・・・(一条ゆかり氏のみ知る・・・かな?)
私は一条氏の作品は「砂の城」から読んでいるが、「恋のめまい、愛の傷」で「ん?変わった。」と思った。一条氏の作品に今までに無い「不自然でない柔らかさ、優しさ」が入ったと思った。正直それまでの彼女の作品は外国を舞台にした作品が多く「つくりめいた」ところがあったようなシーンがところどころに見えるのが否めなかった。けれど、この作品から「変わった」と思った。そして「正しい恋愛のすすめ」で「おっ!」と感嘆した。日本の普通の高校生を主人公にした作品で、あれだけ複雑な人間模様を描いた。凄い。
あの時漫画で「覚えておきなさい。お金をもらったらプロなの。甘えた事なんて言わせない」という台詞にうなった記憶がある。
「プライド」でも、お嬢さんの史緒がクラブの「プリマドンナ」のママ、奈都子に言われた台詞「プロはがんばるのが当たり前なの。覚えておきなさい。結果が全てよ。」この台詞とリンクする。この言葉は厳しいけれど、励まされる。一条ゆかり氏が自分自身を「プロ」だと自覚して描いているからこそ出る言葉だと思う。
久しぶりに「プライド」全巻を買い揃えた。
先が楽しみだ。わくわくして待っています。どんどん読者の予想を裏切るような(?)展開にしてください。