この映画の見所は、緑川萌役の満島ひかりさんの演技に尽きます。
園子温監督の「愛のむきだし」の狂気じみた演技に圧倒されて以来注目していましたが、この映画でもいい味を出してます。
麻見史緒(ステファニーさん)に誘われ一緒に行ったオペラ劇場で、貧しい母子家庭育ちの萌が、人気オペラ歌手の娘として何不自由なく育った史緒に嫉妬して、衆人環視の中で悪態をつく憎々しげな表情。
オペラコンクールのステージに立つ直前の史緒に、「あなたのお母さんは、あなたをかばおうとして死んだのよ」とすれ違いざまに告げて史緒にショックを与え、まんまと失敗に追い込んだときの小ずるそうな目つき。
レコード会社副社長の神野隆(及川光博さん)に恋焦がれる可愛らしい笑顔。
自分の母親を模造刀で殺そうと襲い掛かる狂気。
このように緑川萌を演じる満島ひかりさんのくるくる変わる表情に魅了されっぱなしでした。
それに加えて、Folder、Folder5時代にヒット曲を出しているだけあって、歌の実力とその自信はたいしたものです。
今の日本映画界で、これだけ個性があって演技が上手で歌もうまい若手女優さんはそうはいません。「川の底からこんにちは」に主演したことが縁で、監督の石井裕也氏と結婚したそうですが、若くして所帯じみたりせず、これからも日本映画の金字塔になるような作品に出演し続けてください。