これが『高慢と偏見』の現代的解釈と言われればそうなのかも知れないけど、こういった古典ものを新しく映像化した時によく感じる疑問が今回はかなり強く感じられました。
“ 果たして古典小説の映画化に、現代的な翻案や解釈は本当に必要なのか?”
確かに大筋のストーリーは改変されてないし、屋外ロケなど映像的にも力が入っているのに、全体的に盛り上がりに欠けていて残念。現代の若い観客にわかりやすいよう所々の台詞やシーンを変えている点も、却って失敗してるような印象が残りました。そもそもオースティンの小説は限りなく狭い人間関係や場所で展開されるんだから、奥行きを出すべきはロケ地の自然美より先に人物の性格描写にあるはずなのに、この映画は取り違えています。重要なセリフをばっさり省いた薄っぺらな性格描写と、それには勿体ないほどの雄大な自然美。
あとはキャスト。キーラ・ナイトレイは顔立ちはきれいだけど、顎を突き出し歯をむき出しにして笑う表情に品がなくて下卑で、知的なエリザベス・ベネットのイメージとはかけ離れている気がしました。この人は何を演じても結局はキーラ本人のままというか、役になれ切れない気もします。妙にマスキュランな彼女の衣装も、ほんとにこの時代にこんなの着てたかな?と。男物っぽい服を着せて、エリザベスの性格を現したつもりならなんと安易な演出でしょう。
地方で一番の美女のはずのお姉さんジェーン役の女優さんも華がなく、キーラのほうが断然美人なので、なんだかバランスとしてヘン。ダーシーは高慢でいけすかない上流階級の男というより、ぬぼっとした機嫌の悪いぼんくら風に登場するのである意味衝撃的です。後半はいい味出してますが…
名作として今も人気のコリン・ファース主演のBBC版をおそらく意識しながら、新しい現代的なオースティンを作ろうという作り手側の意気込みは感じるけど、結果は、う〜ん、ってところでしょうか。原作の世界を知らない聴衆には受け入れやすいかもしれませんが。