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ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる
 
 

ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる [単行本]

マイケル・ルイス , 東江 一紀
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

サブプライム危機で大儲けした男たちが次に狙うのは「国家の破綻」。アイスランド、アイルランド、ギリシャ、ドイツ、そして日本。

内容(「BOOK」データベースより)

誰もが自分のことしか考えないとき大事なものが失われる。見たこともない巨額の金が押し寄せたとき、そしてその金が引き潮のように消えてしまったとき、人間はどう狂うのか、国はどう変わるのか。欧州危機を描きながら本書は、私たちの経済と生活にブーメランのように返ってくる。

登録情報

  • 単行本: 248ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2012/1/25)
  • ISBN-10: 4163749004
  • ISBN-13: 978-4163749006
  • 発売日: 2012/1/25
  • 商品の寸法: 19 x 13 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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17 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By RD
 サブプライムローン債券の破綻から金融危機を見越して
 「破綻」に賭けたヘッジファンドやそれを取り巻く格付け会社・投資銀行の行動を
 追いかけた傑作ノンフィクション「世紀の空売り」の作者「マイケル・ルイス」の新著、
 しかも題名から見ると「欧州危機!!これはタイムリー!」ということで
 期待を込めて読みましたが、ちょっと肩透かし。
 理由は2つ。

 まず、原題は「Boomerang:The Meltdown Tour」です。
 邦題は「ブーメラン 欧州から危機が返ってくる」ということで
 欧州危機を掘り下げてるのかなぁ??と期待して読みましたが
 さにあらず。
 まさに原題の通り「アメリカの自治体を含めてメルトダウンの国(自治体)を探訪した」内容です。
 もちろん、政治家、官僚、市民などのインタビューを通して
 危機の真相に迫るわけで、その内容には興味深いものもあります。
 
 しかしどうも題名に期待しすぎていたもので・・・
 欧州危機のさなかではありますし、
 「欧州から危機が返ってくる」という題名にした方が
 まあ、売れますよね。(僕も飛びついた)
 

 2点目は「ライアーズポーカー」や「世紀の空売り」などに比べて
 緻密さがないというか非常におおざっぱな著作という感じがします。
 前作「世紀の空売り」は「サブプライムローンの破綻」という1つの事実に対し
 「ヘッジファンド・投資銀行・格付け会社」など様々な側面から緻密に切り込むことで
 深い内容となったわけです。
 しかし今回のはそれほど深堀りしたような内容ではありません。
 「メルトダウン国に行ってインタビューしてみた」という感じです。
 まあ、前作「世紀の空売り」が良かっただけに同レベルの内容を期待しすぎた
 僕が良くないのかもしれません。
 

 ということで「世紀の空売り」読んだ人が
 同じものを求めたら肩透かしを食らう可能性はあります。
 でも、面白い内容であったことには変わりありません。
 読まないよりは読んだ方がいいかもしれません。

 最後に一点。
 本文中にアメリカで破綻した自治体「ヴァレーホ」についての
 記述の中で

 「自己規制を拒むのであれば、我々を規制してくれるのは、
  環境と、環境が我々から権利をはく奪していくその過程だけです。
  言い換えれば意味のある変化を起こすには、
  必要量の苦痛を我々に与えてくれる環境が欠かせない」

 という文章があります。
 つまり財政破綻国は内部から「変われない」ということです。

 とするとギリシャはひょっとしたらひょっとするのかな。
 「法案がギリシャ議会を通らなかったり、選挙でユーロ離脱派が勝利」したり。
 せっかくのユーロ圏の支援がひっくりかえるような
 そんなリスクはまだまだあるのかもしれません。
 
このレビューは参考になりましたか?
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 本大好き VINE™ メンバー
 前作から時間が経っていませんでしたのであまり内容に期待していませんでしたが、相変わらずのマイケル・ルイス節で面白く読めました。著者の本はどれも漫画のキャラクターのように登場人物が際立っています。
 欧州危機は現在も進行中ですので、本書は途中経過を報告するような内容になっています。当然、鍵となる要人の発言や会議の内容などについては殆ど明かされていません。外側から斬り込める範囲の取材にとどまっています。それでも、どのようにバブルが発生し、どのようにバブルに踊り、どのように崩壊を迎えたか。大まかな流れを簡単に知ることができます。さらに、アイスランド、ギリシャ、アイルランド、ドイツのお国事情や国民性の一端も知ることができます。国としては優位に思えたドイツでしたが、サブプライムでは初心なドイツ銀行家がカモにされていたのが意外でした。
 最後の章では、アメリカの地方自治体の財政破綻についても取り上げています。日本の夕張市のような地方自治体が出てきます。元カリフォルニア州知事のあの人も登場します。この元州知事は何も出来ない無能だった印象がありますが、実情は、政治生命を優先する議員、利権を守ろうとする企業団体、給与や年金の増額を要求する公務員、権利は主張し増税は拒否する市民、それぞれが必死で責任逃れをした結果、巨大な壁となって改革の行く手を阻んでいたようです。ここまでくると日本も他人事では済まされなくなってきます。

 ここからは憶測ですが、本書を読んでいて度々アジアのかの国のことを思い出しました。庶民が買えないほど値上がったマンション、いくつものゴーストタウン、誰もいない大きな商業施設、辺鄙な田舎の豪奢なスパリゾート、不良債権化しつつある鉄道、等々。バブルの兆候がありながらソフトランディングの話がなされていますが、ソフトランディングができるならば元々バブルではなかったともいえます。負債を抱えた欧米経済をよそに、アジアだけが今まで通り順調などと有り得るのかどうか。著者がかの国を取材した本がでたならば、是非また読みたいところです。
このレビューは参考になりましたか?
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 西山達弘 トップ500レビュアー
本書は、アメリカ発の世界金融危機がヨーロッパに影響を与え、これが回り回って再びアメリカに危機を与えているというもので、現地に飛んで主要な人物に取材を行いながら、危機の本質に迫った本である。

類書と違って、本書のすべてが著者の突撃取材から成り立っている。 丹念な現地取材だからこそ、危機の真実が見えてくる。
世界金融危機の当事者であったアイスランドから始まり、ユーロ危機の震源地ギリシャ、そしてアイルランド、ユーロを支える立場のドイツ、そしてアメリカのカリフォルニア州まで、それぞれの国民性までも浮き彫りにしている。

たとえば、漁業で成り立っていた貧しい国家アイスランドが急成長したのは、アイスランド政府が漁師一人ひとりに過去の実績を参考にした水揚げ高を割り当てた(私有化した)ことをきっかけに、権利の売買が一般化し、投資銀行業につながっていったという。そして、アイルランドの特徴は男性優位の風土がリスクを冒す投資に向いていたという。
それから、役人天国のギリシャ。生徒の学力は最下層に位置するのに生徒一人に対する教員の数はフィンランドの4倍。国有鉄道の歳入が1億ユーロに対してその職員の給与総額は4億ユーロ。官有の軍事企業は3つもある。そして徴税が機能しないことを税務官1号、税務官2号と名付けた二人への取材。
さらに、資産価値のない湖を政府に買取を持ちかけたヴァトペディ修道院への潜入取材。
巨額の損失を出した銀行を国有化したアイルランド財務省のレハニンへの取材と救済されたアイリッシュ銀行の株主総会で腐った卵を投げつけたキーオーへの取材。
「汚物に執着するドイツ人」の本を紹介し、自ら国内では金融モラルをわきまえつつも、多くのサブプライム債を購入し、財政は健全だと表明したギリシャ債を購入するのは、ホロコーストという過去を洗い流すための浄化装置であると分析する。

あの第二次世界大戦の反省からドイツは決して自国の国旗を目立つところには掲揚しないというあたりや自らリスクの高い投資は決してしないというあたりなどは日本に通ずるところを感じるし、進む財政赤字のなかで公務員(消防士や警察官)を削減し、必要な住民サービスがほとんどできなくなっているカリフォルニア州の市の話などは、近未来の日本を感じる。

いずれにせよ、本書の序章に出てくるヘッジファンドはフランスと日本をショートポジションで仕掛けているという。
「ブーメラン」がひとごとでないのは確かである。
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