サブプライムローン債券の破綻から金融危機を見越して
「破綻」に賭けたヘッジファンドやそれを取り巻く格付け会社・投資銀行の行動を
追いかけた傑作ノンフィクション「世紀の空売り」の作者「マイケル・ルイス」の新著、
しかも題名から見ると「欧州危機!!これはタイムリー!」ということで
期待を込めて読みましたが、ちょっと肩透かし。
理由は2つ。
まず、原題は「Boomerang:The Meltdown Tour」です。
邦題は「ブーメラン 欧州から危機が返ってくる」ということで
欧州危機を掘り下げてるのかなぁ??と期待して読みましたが
さにあらず。
まさに原題の通り「アメリカの自治体を含めてメルトダウンの国(自治体)を探訪した」内容です。
もちろん、政治家、官僚、市民などのインタビューを通して
危機の真相に迫るわけで、その内容には興味深いものもあります。
しかしどうも題名に期待しすぎていたもので・・・
欧州危機のさなかではありますし、
「欧州から危機が返ってくる」という題名にした方が
まあ、売れますよね。(僕も飛びついた)
2点目は「ライアーズポーカー」や「世紀の空売り」などに比べて
緻密さがないというか非常におおざっぱな著作という感じがします。
前作「世紀の空売り」は「サブプライムローンの破綻」という1つの事実に対し
「ヘッジファンド・投資銀行・格付け会社」など様々な側面から緻密に切り込むことで
深い内容となったわけです。
しかし今回のはそれほど深堀りしたような内容ではありません。
「メルトダウン国に行ってインタビューしてみた」という感じです。
まあ、前作「世紀の空売り」が良かっただけに同レベルの内容を期待しすぎた
僕が良くないのかもしれません。
ということで「世紀の空売り」読んだ人が
同じものを求めたら肩透かしを食らう可能性はあります。
でも、面白い内容であったことには変わりありません。
読まないよりは読んだ方がいいかもしれません。
最後に一点。
本文中にアメリカで破綻した自治体「ヴァレーホ」についての
記述の中で
「自己規制を拒むのであれば、我々を規制してくれるのは、
環境と、環境が我々から権利をはく奪していくその過程だけです。
言い換えれば意味のある変化を起こすには、
必要量の苦痛を我々に与えてくれる環境が欠かせない」
という文章があります。
つまり財政破綻国は内部から「変われない」ということです。
とするとギリシャはひょっとしたらひょっとするのかな。
「法案がギリシャ議会を通らなかったり、選挙でユーロ離脱派が勝利」したり。
せっかくのユーロ圏の支援がひっくりかえるような
そんなリスクはまだまだあるのかもしれません。