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175 人中、164人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
I swear・・・,
By ロイマニア (北海道) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション [DVD] (DVD)
劇場には5回通った。上映が続いていればまだまだ通っただろう。 回数を重ねるほどに、涙をおさえることができなかった。 淡々とした映画である。しかし、2時間強、1カットとして無駄な描写はない。 謎解きも、あっと驚く結末も、こけおどしの伏線もない。しかし、1シーンとして流し見できる部分はない。 テーマのひとつである「同性愛」ということに先入観をもって観て欲しくはない。 しかし観終わったら「同性愛」と「同性愛嫌悪/恐怖」によるヘイトクライムについて考えて欲しい。 この世を生きることのままならなさと、それでも耐えて生き抜かなければならない理不尽さ。心を偽ることが愛し愛する人を傷つけ、自分自身の心をも荒廃させていく悲劇を虚心に受けとめて欲しい。 丁寧な人物描写とロケーションの雄大さ、控えめだが印象的な音楽が、若いキャスト陣の名演を支えている。ノンジャンルで活躍している李安監督の手腕の確かさと、原作を充分消化した上で脚色された脚本の完成度の高さが、素晴らしい俳優たちの演技を完全に生かしきっているのだ。 派手な特殊効果もケレンもない。よい脚本があり、ヴィジョンのはっきりした監督がおり、能力を最大限に発揮できる演者がいれば、マスターピースと呼ばれるべき映画は創られうるのである。
32 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ふたりの温度差,
By yu*e "yue-agemaki" (東京都目黒区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション [DVD] (DVD)
髪に白いもののまじったジャックを抱きすくめるイニスの顔には生活の疲れがにじむ。出会いの夏、ふたりは美しい青年だった。並んで馬を駆り、酒を酌み交わし、身体を重ねる。モラトリアムな夏の日を共有したふたりも、山を下りて現実にたち返る。結婚、子どもの誕生、仕事−−家族との生活も彼らにとっては自らの気持ちを思い知らされるだけのものだった。再会していっそう親密さを増すふたりだが、許されない関係のしわ寄せはそれぞれの家族に及ぶ。家族を愛していないわけではないけれど、後ろめたさが拭いきれず胸にしこる。特にその思いが強いイニスは、ジャックに対してのみならず生き方そのものが煮えきらない。やがて悲しい知らせが届き、イニスは思い出の品を胸に抱き、涙する。男同士だから、ではなかった。この恋のもどかしさは、未来を見つめる者と過去に生きる者、その温度差が生んだ悲しいすれ違いが原因だったのだと思わされる場面である。
96 人中、90人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
"i wish i knew how to quit you.",
By
レビュー対象商品: ブロークバック・マウンテン プレミアム・エディション [DVD] (DVD)
「ニューヨーカー」に原作短篇が掲載されてから8年。幻の傑作と評判の脚本がようやく最適な監督の手で最良のキャストによって映画化され、05年の米で最も語られ、多くの観客を何度も劇場に向かわせた最も心に取り憑いた作品になったこと自体、奇跡でなくて何だろう。ほんの少し何かが狂っただけで無残な失敗に終わったはずで、そもそも全く日の目を見ない可能性さえあったのだ。さらに、未だにこの問題を冷静に受け止めず狭量な偏見丸出しで攻撃する人々が多くいる現実からも、この映画が語られる意味がわかるだろう。ある米のレビュアーは書いていた。「結婚して家庭を持つ男たちが、自分の本当の気持ちを決して表に出せずに、映画を見ながら『これは自分の物語だ』と思っていることを、いったい何人の者に想像できるだろう?彼らの妻達は、今まさに隣で起こっていることだとは夢にも思わず、自分とは無関係の物語として見るに違いない。もしかしたら『なんて可哀想な話なの』なんて感想を本人に漏らしつつ」。2人がゲイでないならという仮定は無意味だし、これはただ感動的にするために与えられた悲劇の恋物語などではなく、ある人々にとっては未だに痛いほどの現実なのだ。もっとも、監督が込めたのはそんな社会的メッセージではない。壮大な自然の中、ennisを完璧に体現したHLを初め俳優たちの演技は信じられないほど素晴らしく、無意味な映像やセリフは一切ない。だから人は彼らの20年を自分の中に再構築し、まるでその人生を共に生きたかのように彼らの苦悩を本物だと信じることが出来るのだ。本当は何の情報も先入観も持たず豊かなイメージに身を委ねてほしい。「ゲイのカウボーイの物語」という乱暴な括りに収まらない素晴らしい映像体験になるはずだから(もし共感できなくても自分の人生に重ねて何かを感じるはずだから)。これは言葉ではなく行間の映像で語り、彼らの人生を体験させる映画なのだ。
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