井筒監督が”『こちトラ自腹じゃ!』”で唯一5つ星をつけていたのに興味を覚え鑑賞。2001年公開当時の興行ランキングは、1位は『千と千尋の神隠し』、2位『ジュラシックパーク3』3位『PLANET OF APES/猿の惑星』。三作品ともよく覚えてますが、6位につけていたこの作品のことはさっぱり記憶にありませんでした。こういう作品に気がつかないまま通り過ぎていたのは誠にもったいないことです。
60-70年代にアメリカのコカインマーケットを作り上げた伝説の麻薬ディーラー、”ボストン”・ジョージ・ユングの半生を描いた物語。本人は2015年まで刑務所に服役中だそうで、DVD特典映像には本人自身も登場し、獄中でインタビューに答えています。
ユングは人間的には魅力がある。度胸があり、家族を愛し、仲間を裏切らない。こういう性格は目力が印象的なレイ・リオッタ演ずる父譲りらしい。父の失敗で貧乏に転落したことがユングを悪の道に走らせることになったが、ユングが麻薬ビジネスに手を染めていることを知ってもただ「大丈夫か?」と息子の身を案ずる、この父の姿も魅力的です。
本来悪ではない男が境遇ゆえに悪の道に走り、不運なことにその道で才能を発揮してしまった。この上ない不幸だなぁ。うなるほど金のあった間は良いが、すべての物的財産を失ったときに彼は本来愛すべき人たちまで失ってしまった。仮出所して別れた妻と暮らす娘にどうしても会いたくて登下校を待ち伏せる。その時の格好はジャージにペラペラのジャンパー。これほど悲しいシーンはありません。結局、いくらひと時の栄華を極めても、悪の道で幸せに暮らしていけるはずがなかったというユングの悟りを感じました。獄中で淡々と話すユングが印象的。