この巻では設定上の謎解きとなるブレットとティティアリスの前日譚がきっちり1巻分で語られています。
今まで漫画上で産業革命時の英国や、第二次大戦時の東方戦線、戦後日本の闇市等、様々な過去を舞台にした伝奇物は拝見しましたが、1960年代初頭のアメリカを舞台にしているのが目新しく、魔法にさらに技能としてのマジック(手品)に被せる設定は言葉にすると相当ややこしいのですが、アイテムに銃を用いる事により、読者にも一目で魔法使い達が駆使する魔法が理解出来る心憎い設定となっています。
魔法や妖精と言うガジェットを60年代米国風俗に彩られた犯罪組織と男女コンピとの復讐戦に被せると言うメタな作風をここまですんなりと読者に受け止めさせる事が出来るのは相当プロットを練り込んでいるからだと思います。
この巻で語られる主人公二人が戦い続ける理由も一部は良くあるパターンなのですが、組合せと切り口が新鮮な為、充分説得力があり、感情移入が容易です。
不条理な運命にも挫けず僅かな持ち駒で丁々発止と組織と渡り合う主人公二人のスマートな不屈さが、本作を残酷な描写に満ちながらも胸躍る活劇としています。
非常に達者ながらデフォルメの強い絵は最初は取っ付き難いかも知れませんが、一旦その世界観に慣れると虜になる事必至です。
ガン&カーアクション、望月三起也作品、美少女、犯罪物、そして魔法がお好きな方には大推薦です。