普段はロックしか聴かない私がケニー・Gの本作には魅せられてしまった。ソプラノ・サックスによる美しくもメローなサウンド。それを随所にアドリブを交え、自在に弾きこなすケニーの超絶的なテクニック。それが全く嫌味にならず、自然と聴く者の心に染み渡る。聴く者の心に解放感と癒しと安らぎを与えてくれる最高のサウンドである。
「The Joy of Life」に始まって「The Wedding Song」で終る本作は、全体が流れるように構成され、トータル・アルバムと言って良い完成度。その中で、A.ネビィル等のヴォーカル曲も取り入れ、それが程良いアクセントになっている。また、ビーバップをもじった「G-Bop」では珍しく軽快で弾むサウンドを披露したり、「Sister Rose」では深みのあるジャージーなサウンドに挑戦したりと、これまた新鮮なアクセントになっている。また、日本版のボーナス・トラック「Jasmine Flower」は元々中国の曲なのだが、ケニーは巧みにアレンジし、聞くものに独特の味わいを与えてくれる。日本人にとってはある種の郷愁を感じさせる音色で、聴いていて非常に心地良い。最終曲、「The Wedding Song」は自身の結婚式用に書かれた由で、穏やかな幸福感が伝わって来て、締めに相応しい。
ケニーの高い音楽性が凝縮された魅惑的な内容であり、世界的な大ヒットになったのは当然だろう。何度聴いても飽きない秀逸な出来映えで、ケニーの無限の可能性を感じさせる。何時までも素晴らしいサウンドに身も心も任せていたいと思わせる名作中の名作。