ドラッカーをリスペクトしている著者が、ジム・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー」「ビジョナリー・カンパニー2」と同様の調査・分析手法を活用して導き出した、ベンチャー企業がブレイクスルーするための条件を体系化した本です(ちなみに、ジム・コリンズも現代のドラッカー、またはドラッカーの意思を受け継ぐ者として位置づけられているようです)。
ドラッカーをリスペクトしているが故に、人にかなりフォーカスされたものとなっており、またジム・コリンズが採用した手法を適用しているが故に、具体的な事例をふんだんに盛り込んだうえでのしっかりとした提言となっています。
戦略・育成・実践の全てにおいて人をどれだけ上手く巻き込み、能力をどれだけ引き出し、成果につなげていくか、がポイントであり、そのために重要となる施策を提示しています。
ドラッカーの主要な著作を読破している方からすれば、当たり前のことが並んでいるだけだという印象を与えると思いますが、それでも、相当な調査・分析を踏まえてドラッカーの思想が肯定されているということに価値があると思います。今の時代においてなおドラッカーの思想が重要であるということを再認識させてくれる本書は価値があると思います。
また、本書での提言は、ピーター・センゲの提唱したラーニング・オーガニゼーションや、エドガー・シャインが提唱したプロセス・コンサルテーションが非常に重要な要件であることも裏付けるかたちになっています。戦略・組織・業務プロセスという箱モノを作ることよりも、人がそれらを上手く構築できるようになること、そのために人を上手く活かすことのほうが経営において重要であることが再確認できます。
さらに、企業の発展段階を踏まえると、ベンチャーの飛躍は本書、大きくなってからの変革は「ビジョナリー・カンパニー2」、ビジョナリーを維持発展するためには「ビジョナリー・カンパニー」というかたちで上手くこれらを活用することができると思います。