ジョニの最高傑作と評されることの多い作品だが、私はそこまでは思わない。私はジョニがエレクトリック・バンドを率い、ジャズに浸った時代を経た後の90年代の、唯一無二の音世界に到達した諸作品が最高だと思うから。しかし、アコースティック時代の彼女の最高作は本作だと断言できる。
グラハム・ナッシュとの生活が破局を迎えた時期の作品なので、タイトル曲や、ジャケの色調はブルーな気分に誘うが、暗い曲ばかりではない。そうでなければ、彼女の初期作品の集大成と言える傑作ライヴ・アルバム「マイルズ・オブ・アイルズ」に本作から5曲も選ばれたりしない。
どの曲も様々な彼女の思いを優しいメロディにのせており、駄曲はないのだが、ベスト2は「リヴァー」と「ア・ケイス・オブ・ユー」。前者はH.ハンコックのトリビュート・アルバムのタイトル曲に選ばれ、後者は同アルバムの日本盤のボーナス・トラックで素晴らしい演奏が聴けるのに加えて、ジョニ自身が後の作品で様々なアレンジで採り上げる名曲中の名曲。この2曲のオリジナルを聴けるだけでも、本作の価値は不滅だ。