ワイト島のライブというとジミが観衆の前に姿を現わした最期のパフォーマンスです。音源自体はCD化されていますし、また映像も10年以上前にヴィデオで出回ったり、BS放送などで何度も放送されましたから、ファンの方にとってはこのDVDで再確認するというパターンがほとんどだと思います。
ジミヘンの映像に限ったことではありませんが、この時代に記録された映像は演出家の好みなのか、あるいは時代の流れなのかはいまとなっては分かりませんが、映像上のギミックが多く、肝心のステージの模様が分かりにくいという共通した弱点があります。ウッドストック然り、レインボーブリッジ然り、です。そういえば「Beat Club」あたりもそうですね。その時代の若者の生態、ファッション、風俗を改めて検証するという意味合いではそれも「あり」だとは思いますが、私のように「とにかく生のジミヘンを観てみたい!」と願うファンにとっては、ただ淡々とステージの模様を収めてくれればそれでいいのです。無駄なカットや妙な画像処理は、ありがた迷惑以外の何物でもありません。
そんな意味では、ここに収められたワイト島でのパフォーマンスは、当時としては秀逸の出来栄えです。ありがちなギミックを一切排除しているので、生のジミヘンが手に取るように分かります。「もう少し、ギターをアップに!」「顔のアップはいらん!」「後ろからのカットが多すぎる!」など、突っ込みどころはもちろんたくさんありますが、それも愛嬌です。「あの宇宙的なギタープレイはどうやって弾いたのだろう?」「このフィードバックって、どうすれば出るの?」などなど、いままで音だけを聴いて想像力を限界まで働かせていたファンにとって、8割がたはカタルシスを得られるはずです。ストラトキャスターをフライングVに持ち替えるあたりはゾクゾクしてきます。
それにしてもラストの「In From The Storm」を演奏したあと、投げやりにギターを置いてステージを去るジミヘンの姿はあまりにも悲しすぎます。誰しも彼の数週間後の死などを予想だにしていなかったからです。改めて、合掌。