【あたしは死んだ。この空の下で
少女という概念をめぐる3つの箱庭の物語】
という帯と、装丁に惹かれて購入しました。
17世紀ドイツ、近未来シンガポール、そして2007年の日本と、時代も場所も異なる世界を1つの物語に絡めるストーリーは楽しめると思いました。
しかし、せっかくの設定を活かしきれずに物語が終わってしまった気がします。3つの世界に一貫して登場する「少女」と、それを取り巻くそれぞれの世界の「少女」に対する概念の比較や、<アンチ・キリスト>・「強化老人」等の設定は面白いのですが、1冊の本として出すには無理があったのではないでしょうか。設定を詰め込みすぎて物語全体が中途半端になってしまい、かえって「世界」が薄れてしまったようで残念です。そのためか、「少女」が見ている「世界」には、いまひとつ共感できませんでした。
とはいえ、第1部のドイツのストーリーはとても楽しめました。「魔女狩り」等の当時の状況が克明に描かれていますし、先が気になってページを進める手が止まりませんでした。それだけに、第1部だけでもきちんと完成させて欲しかったと思います。