ブルーインパルスというと、何か催しがある時にアクロバットを披露する姿から、「華やかな存在」というイメージを持っていた。
しかしその華やかさの裏に厳しい訓練がある…のは当然として、組織の成立過程に重い由来や複雑な矛盾があることがこの本を読むと分かる。自衛隊の中にある組織なのだから、不思議ではないのだが。
筆者の執念を感じさせたのは、82年に起きた浜松基地航空祭での墜落事故についてのくだりだ。真相を見つけるため、筆者は多くの関係者に話を聞くのはもちろん、無線交信記録まで入手している。
それらの新資料から事故の実像を浮かび上がらせる過程は簡単に要約できるものではなく、実際に読んでもらうにしくはないので、「え? そうだったの?」と思わされたエピソードをいくつか紹介したい。
・「ブルーインパルス」という呼称に、広島の原爆が反映されていること。
・「9年おき」の「7月4日」に事故が起きていたこと。しかも「174号機」が墜ちたりしている。
・ブルーインパルスが航空自衛隊の中のエース的存在、とは必ずしも言えなくなっていたこと。
などなど。これらは本書の一要素に過ぎないのだが、そういう「初心者に面白いところ」を拾うだけでも十分楽しめる一冊だった。