ブルックナーは出だしから指揮者の目指すところは明らかです。クナ風のゆっくりしたテンポで、デモーニッシュな世界を作ろうとしています。最初の3分間で、「これぞドイツ!」と感じるか、「どこかわざとらしい」と感じるかで、その人の好みが分かりそうです。ちなみに私は後者。指揮者の意図は分かるのですが、どこか頭で作ったような感じがします。特に最初の2つの楽章にそれを感じました。オケが十分反応しきれていないような気もしますが、グッドオールにはバトン・テクニックがなかったという話もあるので、結局は指揮者の責任でしょう。
むしろお勧めしたいのはワーグナーの方です。こちらはブルックナーのときのようなぎこちなさは感じません(ここら辺にブルックナーとワーグナーの違いがある?)。《トリスタン》前奏曲のあと、「愛の死」ではなくヴィーセンドンク歌曲集をもってくるという配置も心憎い。トリスタンとヴィーセンドンクは同根の音楽ですから。ヴィーセンドンクの3曲目のやるせなさなど最高です。危険な香りに満ち満ちています。
なお《トリスタン》前奏曲の後半には、独自のアレンジが大きく加えられています。私はこういうのもありかな、と思ったのですが、人によっては激怒するでしょう。