1976年12月残響豊かなルカ教会での収録です。第1楽章冒頭の「原始霧」といわれる微かな弦のトレモロについて、7番では他のシンフォニー以上に慎重な処理が必要なことをヨッフムは指摘していますが、その絶妙な出だしから緊張感あふれる演奏です。
また、この7番は全体の「頂点」が第2楽章にあり、後半は下降線をたどるという解釈にそって、第2楽章アダージョでは特に内省的な求心力のある演奏となっており、シンバルとティンパニーの強奏による「頂点」を形成したあとは諦観的なエピローグによって締めくくられます。全般にとても端整な音楽づくりにヨッフムは心を砕いており、それがリスナーの自発的な集中力を高める結果となっていると思います。
7番は比較的異稿問題が少なくブルックナーの「地」の姿が素直にでていると言われますが、この演奏を聴いていると、本来のオルガン演奏が管弦楽団に極力代替され、チェロなどの中声部は人声の合唱にちかい微妙な表情すらもっているようにも感じられます。特に、後半の2楽章では、金管の使い方が過不足ないようにセーブされており、またテンポも大きく動かさないことから、劇的な演出に慣れたリスナーには、物足りなさを感じるかも知れません。しかし、これが作曲家の意図をあくまでもくみとろうとする解釈なのだと思って神経をそばだてると、瑞々しい感性、静寂の深さに別の感動が湧いてくると思います。じっくりとブルックナーに親しみたいリスナー向けには最良の名演でしょう。