不思議な録音である.演奏は多分しっかりしているのだろうが,録音が全く噛み合っていない.Dynamic range が極端にせまく,何かリミッタが掛かったようで,ホルンの強奏がつぶれている箇所が見られる.これでは Bruckner sound は出ない.従って第一楽章の形式感が失われ,第二楽章の悲痛な情緒も表現され得ない.折角の Wand - Berliner Philharmoniker の歴史的演奏はお蔭で台無しになってしまった.BMG には Harnoncourt - Wiener Philharmoniker による9番の記念碑的録音があるのに,この醜態はどうしたことであろうか.なお,普通の digital 録音をSACD 化するのには困難な問題を伴うので,買う方は用心した方がよい.