人生いろいろで、華やかなスター指揮者とちやほやされても、没後は上っ面をなぞる音楽職人に過ぎない、と忘れ去られる方もある中で、このヴァントはん、ベーム(この人は没後ますます評価が高いですけども)の専らフィルアップ(B面扱いで、序曲やシューマンの短い交響曲を入れはっとった)で軽く見られとった。晩年にメジャーになりはっても、彼のブラームスとか聴いて、何かテンポが急にそわそわしたりして、尻軽な感じで好きになれんかったです。
ほいで、何ですか、このゴツイ録音は!立体分離はこの上なく、チューバやコントラバスの低域から弦合奏やトランペット、フルート等の高域に至るまで極めてクリアです。最近わては、シカゴでのライナーのRCAでの録音を聴いて、現代の録音テクノロジーに懐疑的になっとったんですが、この録音なら文句ないですなあ。デノンピュアCD最終の1650プレーヤー、B&W縦長スピーカーでの再生。ベルリンフィルハーモニーホールのよさで、反響まで豊に聴き取れます。
第一楽章。泰然としてそわそわしたところなど微塵もなく、ベルリンの機能的なソロや合奏が実に生きとる。ともすると、退屈でもある曲ですけども、響きをCDから聴き取れることで、ライブその場でいるようで、まったく退屈させん。わての大好きなジュリーニのウィーンでの2, 7, 8, 9番の録音より、音質は上です。
第二楽章。さざめくように叙情的な弦合奏をバックに、木金管が敬虔でやわらかな響きがエエですなあ。第三楽章は曲の白眉のスケルツォと思うて居りますが、フルートとヴァイオリンが行ってくるところでそわそわした尻軽な悪いクセが一寸出とります。
終楽章。これまた実に長く、度重なる繰返しがこの原典版でも聴かれますけども、ホールの反響がつぶさに伝わり、楽章出だしのシンフォニックなフレーズがその場感覚で楽しめます。思うに、CDでブルックナーが退屈になるのは、録音のせいが大きいんちゃうかな、と思います