勿論、我々はすべて・・・
生まれ落ちた瞬間から、大きく開いた死の口元に向かって否応なく引き寄せられているのだから
そして、どんなに覆い隠しても
崩壊に抗い続けた営みが止まるとともに腐敗が始まる
昔、人は今よりはるかに身近に、こうした命を失った肉体の変化というもの
その耐え難い腐臭も含めて受け入れていたのだろう。
死をもたらすアンクーは、日常の中で常に傍らに立ち
こちらとあちらの境界は余りにも曖昧で
だから人々は神にすがり
教会に助言を求め
口伝の中に、死に連れ去られないための
そして何より地獄に吸い込まれないためのノウハウを伝えたのだろう。
冬の炉辺、訥々と、あるいは豊かな抑揚を含みながら語られる
その語り口までが伝わってくる
確かに一面、ブルターニュ地方のフィールドワークレポートということもできよう。
もしかしたら、この先消えてしまうかもしれない伝承の、貴重な記述資料なのかもしれない。
でもやはり、ふと本書を手に取ってしまうのは
限りない恐怖を含んだ死というものを
諦念とともに真正面から受け入れる人々の、哀しくて優しく
どこかユーモラスな
そんな死との付き合い方に惹かれるからのような気がする。