西村書店のアートライブラリ・シリーズのひとつです。
美術書コーナーを少しでも常設している書店に於いてよく見かけるシリーズで、
画家の事を詳しくは知らないけど作品を幾つか見てみたい、という要望に応える本という位置付けでしょうか。
定価¥2,100なので、タッシェン25周年版と同様比較的気楽に買えるシリーズと思います。
本書は124ページに51点のカラー図版とモノクロの挿図41点が載っており
だいたい見開きで右ページに作品を、左ページに解説及び挿図を、という構成になっています。
印刷はまぁまぁ、というのが正直な感想です。
また、近年の研究ではブリューゲルの手によるものではないという見解が大勢を占めている
<イカロスの墜落のある風景>が初期の作品として最初に掲載されていますが、
この作品や<ネーデルラントの諺>など図版のうち半分は部分の掲載となっておりました。
モノクロで全体像を見せ、カラーで部分を拡大するというのは
ボスやブリューゲル(及びフランドル絵画)の図録・画集では特によくあるパターンですが、
学究的に鑑賞したい人向けとは思えない本シリーズではやや疑問が残る作りと思います。
もちろん、部分を見て何の意が描かれているのかを考える事は
ブリューゲル作品を楽しむ大きな要素のひとつですが、
最初から誰もがそのような鑑賞ができる訳ではないので(当然私もです)、
せめて楽しみ方の手解きをもう少し書いて貰えればと思いました。
価格の手頃さと流通の良さ、版画を除く代表作と呼ばれるものの多くが掲載されている事から星4つとしました。