ルービンシュタイン、グールド、ルプー等の演奏を以前から聴いているが、今回の田部の演奏は一際感動的だ。直接、ブラームス自身の心の内が伝わってくるような演奏だ。先ず、ピアノの音が美しい、左手の低音がなんとも深く心地よい音だ。テンポも、これより速すぎても、遅すぎてもだめで絶妙だ。アファナシェフの演奏は奇抜で驚きだが、感動とは遠い。熟成に熟成を経てきた最終到達点のようである。ブラームスの琴線が手に取るように伝わってくる素晴らしい演奏である。現在、これを超える演奏はない。ただ、ある程度近い所にあるのはグールドの名演だ。最後のトラックに収録されている弦楽六重奏曲第一番の第2楽章の名旋律がピアノの名手でもあるブラームスによる作品なので、当然と言えば当然だが、ピアノ曲として素晴らしい。こちらが原曲と言っても良い。