小澤征爾とサイトウ・キネン・オーケストラの名を世界に轟かせたブラームス。好みが別れるかもしれませんが、私の中ではこの小澤×SKO(1990年)がブラームス交響曲第1番の典範のような存在です。エスプレッシヴォな弦の旋律、これでもかと言わんばかりに鳴り響く金管楽器、温かく柔らかな木管…。負の感情のすべてをぶち込んだような第一楽章から、長い長い時間を経て、光へ向かう第四楽章の歓喜の爆発。果敢なアプローチを見せる表情豊かなブラームスを楽しむことができます。
ザルツブルク音楽祭に出演するなど、文字通り世界を股にかけて活躍していた時代の小澤征爾とSKO。脂の乗り切った彼らの活き活きとした名録音です。クラシック音楽界につきものの賛否両論はあるのでしょうが、小澤征爾さんが到達したブラームスをこうして堪能することができ、本当に満足です。