60年前の録音とは思えないほど鮮やかな音です。弦の合奏など一人一人のボウイングの動きがわかるようです。本当に暖かい音で響きます。木管も金管も実在感たっぷりです。金管の強奏部分でほんのたまにビビリがありますが、ほとんどの部分ではきちんと音を捉えています。最近の録音をモノラルにしてブラインドテストをやったら区別がつかないのでは・・・。ハンガリー舞曲は若干音質が落ちます。一枚ベールをかぶって、ちょっと音が薄い感じがします。ただし、単独で聴いたら満足したことでしょう。すばらしい復刻です。
演奏は、いままでブラームスの1番はベーム・ウィーンフィルの行儀のいい演奏で聴いていましたが、振幅の大きさに驚きました。序奏部のティンパニの強打、場面が変わるごとに見得を切るような強打と前後の休止、これで参ってしまいました。2楽章、3楽章は夢見心地のような美しい音楽です。そして、終楽章でまた起伏が激しくなって、これぞフルトヴェングラーというドラマチックな展開です。そして団員の必死さが伝わってきます。ベートーヴェンのはまりようと比べると、不自然に感じるときがあり、ちょっとやりすぎでは、と思うわないでもないですが、わたしはこれはこれでこれからも楽しめそうです。