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ブランド王国スイスの秘密
 
 

ブランド王国スイスの秘密 [単行本]

磯山 友幸
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

「スイス300年の平和が何をもたらしたか? ハト時計だけさ」映画『第三の男』のオーソン・ウェルズの名せりふである。が、スイスの生んだのはハト時計だけではもちろんない。は、その小さな国土、列強に囲まれた地形をものともせず、現在、世界最強のブランド王国である。90年代以降隆盛を極める高級時計ブランドのほとんどはスイスブランドであり、世界最強の食品会社ネスレ、数多くの医薬品メーカー、化学メーカー、そしてなによりUBSにクレディ・スイス、そしてプライベートバンクをメインとする金融のつわものが居並ぶ。人口たった730万人だけに、この企業群があるスイスが、国民一人当たりの国内企業時価総額では、ダントツのナンバーワンである。そのうえ、治安がよくヨーロッパでは「住みたい国」ランキングでもナンバーワン。なぜ、資源に乏しく山間で農業も発達せず、ヨーロッパの列強に囲まれた小国が、これだけの企業を輩出し、そして自国のブランド力を誇示できるようになったのか?
本書は、スイス企業とスイスの強さを「ブランド論」で切り取り、ブランド強者スイスの秘密を明かす。これまで、スイスのブランド強者ぶりを縦横に論じた書籍はなかった。理由は、スイス国家とスイス企業の秘密主義ぶりにある。本書は、スイスに3年、ドイツに2年駐在した日本経済新聞記者が、鉄の壁を乗り越えて数多くのスイス企業と政府関係者に直接取材し、スイスブランドの誕生の秘密、強さの秘密、その未来に迫ったルポルタージュである。少子化が心配され老人国家と化す日本にとって、きわめて役に立つブランド国家のケーススタディ、それが本書だ。

内容(「BOOK」データベースより)

時計、金融、食品、薬品、観光、そして国際政治…。人口730万人の小国が、世界ナンバーワンの「ブランド王国」となった謎を明かす。

登録情報

  • 単行本: 230ページ
  • 出版社: 日経BP社 (2006/2/23)
  • ISBN-10: 4822245012
  • ISBN-13: 978-4822245016
  • 発売日: 2006/2/23
  • 商品の寸法: 19 x 13.5 x 2.5 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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19 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 SWISS MADE と MADE IN JAPAN, 2006/4/25
レビュー対象商品: ブランド王国スイスの秘密 (単行本)
著者はあとがきで、スイスに贔屓目であり無批判に過ぎるかもしれないと弁解しつつも、3年間の滞在中、国としてのブランドを実現する強固な仕組みや成り立ちに感嘆せざるを得なかったのだろう。言うまでもなくブランドとは、一皮むけばボロが出る小手先の技術では通用せず、一朝一夕に積み上がる表層的なものではない。まして、過去の遺産や偶然の産物でもありえないのだ。

本書で紹介されるのは、スウォッチやネスレに代表されるコングロマリッドがM&Aによって構築するブランド・ポートフォリオの手法、金保有量や政情安定に基づくスイスフランの強さ(高物価はその裏返しに過ぎない)、スイスの銀行が頑なに固持する番号口座や守秘義務制度、職業政治家の居ない小さな連邦政府と、州ごとに低税率を競い合う強い地方、などのヒト・モノ・カネを吸い寄せる仕組み。企業の本社や大富豪が籍を置き、スイスに住む2割は外国人である。加えて、アルプスをはじめ美観と安全性が保たれた国土と、教育水準と言語能力が高く、歴史的に勤勉な国民とによって形成されるクォリティ・オブ・ライフ。

一方で、日本製品が「高品質で安価」という価値観からなかなかシフトできず、猛追するアジア諸国との価格競争の中で行き場を失い、少子高齢化やニート増加といった労働問題に手をこまねき、企業の不祥事が相次いでいる姿を思い浮べる。

私は10日ばかりのスイス旅行だったが、至るところで安全・清潔・便利・快適・美しさを実感した。本書では触れられないが、観光立国としての側面を支えるフライ・レイル・バゲッジなる託送システムも、日本では到底真似できない官民異業種の連携技だ。日本は勤勉で教育水準の高い国民に根ざした技術立国であるという認識は過去のものとなり、著者ならずとも将来への危機感が募る。経済大国を自負するより、資源に乏しい小国スイスのしたたかさや豊かさから日本が学ぶべき点は多いだろう。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 近代日本と同じような軌跡を歩んできた「欧州の小国スイス」から、迷走する日本経済は何を教訓として読み取るべきか, 2010/2/27
By 
左党犬 (日本国 JAPAN) - レビューをすべて見る
(トップ100レビュアー)   
レビュー対象商品: ブランド王国スイスの秘密 (単行本)
 大企業の現役ビジネスパーソンがその読者の大半である日本経済新聞社の記者が、2002年から2004年まで欧州の金融都市チューリヒ支局長として滞在したスイスについて書いたビジネス書。2006年当時の日本の読者に向けて、日本経済が抱える問題を打開するために、似たような条件にあるスイスから何を教訓として読み取るか、という観点からまとめた本である。

 本書でいっている「ブランド王国」には2つの意味がある。
 まず、第一に「国のブランド力」について。これは、スイスの「赤地に白十字の国旗」じたいが、ブランド力のあるロゴであることにもあらわれている。世界でも有数の強さを誇る通貨スイス・フランをもつスイスは「金融立国」で、低税率と銀行守秘義務を武器に世界中の金持ちからカネを集めてきたことだ。多言語の連邦国家で地方自治がきわめて強く、結果として連邦政府の国家権力が相対的に弱いスイスは、しかしながら地政学的には山岳国家なので攻めにくい、という相反する二つの条件をクリアしているからだ、という著者の仮説は面白い。
 もう一つの「国のブランド力」とはいうまでもなく、風光明媚な国土が観光客を魅了してきたという「観光立国」としての側面である。しかし、この強みも、周囲にユーロ圏が成立したことにより、強い通貨スイス・フランが裏目に出ており、フラッグキャリアのスイス航空破綻にも影響を与えているらしい。
 さらに「ブランド王国」には、ネスレやスウォッチに代表されるような、スイスに本社を置くグローバル企業が、積極的な買収によって獲得してきた複数のブランドを、ポートフォリオで管理する「ブランドマネジメント先進国」という側面もある。ただし、この面にかんする記述は、ジャーナリストによるものであり、あくまでも表面的なものにとどまっている。詳しくはブランドマネジメントにかんする経営書をひもとくべきであろう。

 この本で著者が読者に訴えたいのは、スイスと日本が、ほぼ同じ時期にプレーヤーとしてグローバルステージに登場し、同じような軌跡をたどって富強化への道を歩んだことを前提に、日本への教訓を7項目にわたって書いていることだ。基本的に貧しい農業経済であったスイスは、海外傭兵による外貨収入に大きくたよっていたが、こうした状況から脱するために始まったのが、まずペスタロッチに代表される「教育改革」であり、これに続いた「産業革命」により、勤勉さを武器に精密機械などを中心にした「製造業立国」への道を進むことになった。本書でも紹介されているように、明治維新政府による「岩倉遣欧使節団」が、小国スイスにモデルの一つを見たのも不思議ではないのだ。

 さて、著者が提言している、スイスに学べき7つの知恵とは以下のとおりである。
  '1. 高付加価値経済の実現
  '2. 「強い通貨」
  '3. プライベートバンク
  '4. 美しい国土
  '5. 人的資源を活性化する仕組み、とくに若手を登用する仕組み
  '6. 外国人の活用
  '7. 「小さな政府」
 IMF統計では人口一人あたりGDPで世界第4位(・・日本は23位)、また本書によれば、人口一人あたり企業価値で世界一というスイスも、さまざまな問題を抱えているが、著者があげている7項目については、いずれも日本は模範とすべきであろ。とくに「強い通貨」については、日本では輸出依存型の製造業を中心に批判が強いが、国全体で考えればけっして悪い話ではない。強い通貨に見合った経済体制、企業体質と戦略を作り上げていくべきであるという著者の考えには賛成である。

 本書で著者は、スウォッチによるスイス時計産業の復活と強化についてなど、ポジティブな面を中心に書いているが、意外にもスイスが抱える問題点にも目配りをしている。とくにフラッグキャリアであったスイス航空破綻については、著者がスイス勤務中の旬の出来事であったこともあり、本書には数ページにわたってその経緯が詳述されている。スイス航空の挫折が、ハブ空港であるチューリヒ空港の前途に暗い影を落としていること、これが観光業だけでなく、金融業を中心としたビジネス全般にも影響がでかねないことなど、同じくフラッグキャリアであった日本航空(JAL)破綻を目撃することになった日本人にとっても、他人事とは思えない。
 人口730万人にすぎない小国スイスであるが、現在でもEUに加盟せず、欧州共通通貨ユーロの導入にも背を向けていることなど、アジアにおける現在の日本のポジショニングと似ていなくもない。

 スイスという国が好きであれ嫌いであれ、一読の価値ある本だといえよう。

 
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5つ星のうち 4.0 日本の次世代戦略を考える, 2011/2/16
レビュー対象商品: ブランド王国スイスの秘密 (単行本)
ブランドの築き方はとても大切です。
買収にあたっても、買収後にどういったブランドを消費者に提示していくのか、
大きなグループの下に、価格帯・質・ターゲットが異なるブランドをもつこと
が大切なようです。同じブランドで1万円と30万円の時計商品があったとして、
後者の「ブランド価値」はどれほどか…

今後の日本の「国家戦略」を考える上で、本書は良い導入書になるのではないでしょうか。
もちろん、本書を越える戦略を立てていく必要がありますけれど。

以下 各章の要約です(主観入ってます)
■第一章:スイス産業はいかにして「ブランド」を創ったのか?
買収を繰り返したのち、数々のブランドを効率的に運営するためには、それぞれ「世界戦略ブランド」「地域戦略ブランド」等の階層別の管理を徹底する必要がある。また、ブランドのイメージ構築には、細心の注意を払っており、十分に強いブランドをもつ場合、第二のブランドを立ち上げようとは考えない。また、「品質の評価」と「ブランド力」を結びつけ、高くても売れる商品を世の中に送り出すことにも長けている。

■第二章:「スイス」というブランドの力
スイスは高い物価とは裏腹に、税金面で他国に比べ魅力がある。低い税率は高所得者を引き寄せ、高所得者が高い物価の商品を購入し、結果として国は大きな収入を獲得できる。国家の権力が弱く、権力者の心変わりによる流動資本の凍結などのリスクが小さいため、金融業にとっては非常に魅力的な国でもある。また、資産家が多く集まることから、美術品の市場も世界屈指の大きさをほこり、観光資源である「景観」に大きな価値をみいだしている。

■第三章:ブランド立国までの足取り〜スイスの歴史
スイスの過去の教育形態は世界的に賞賛されており、知識・技能・道徳の三つのバランスが取れた人格形成を教育の基礎とした。資源も人口も乏しいスイスは、知的資源を国内に蓄え、商品化し、外貨を獲得して今の地位を確立した。資源がない分を知恵で補う戦略は、まさに「ブランド戦略」そのものであり、日本国・日本企業も参考にできる点がたくさんあろう。

■第四章:スイス・ブランドの曲がり角
「事業の多くは外部委託できるが、高度の実践技術だけは外注できない」。より高度な知を獲得するために、広く海外から優秀な人材を呼び寄せる「プラットフォーム」をスイス企業は築いてきた。
また、航空・観光業では、これまでのスイスブランドが通用しないところも出てきている。柔軟性と保守性をもつスイスの人々も、今後の自国経済の方向性を考える必要が出てきた。

■第五章:ブランド論で語る「国のかたち」
スイスの環境、歴史、高付加価値経済は、かつての日本経済を髣髴させられる。かつての日本の強みであった「良いものを大量に安く」提供する経済モデルは、新興国のより安価な製品の勢いに押され、しっかりとしたブランド戦略を築かない限り近い内に終焉を迎えることだろう。
また、企業の上層部が早い時期に引退する経営文化にも、学ぶべき点は多い。若い人にチャンスを与えてこそ、国は活気づき、新しい創造がたくさん生まれるはずである。
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