企業が持つブランドという資産(=何度も事業に供して収益をあげることに貢献する)をいかに全社的視点に立って最適活用するかを論じている。
つまり、「事業」の視点からの「一つ一つのブランドをどう構築し、維持・向上させるか」という議論ではない。時には事業を横断して-場合によっては社外のブランドも含めて-複数のブランドを組み合わせたり、統廃合したりすることによって、マーケティング的に有効にそして財務的にも効率的に活用することをねらう、「全社」視点からのブランド戦略=ブランドポートフォリオ戦略にフォーカスして議論が展開されている。
とかくありがちな、「新しいブランドの構築」にいきなり投資するのではなく、持ちうるブランド資産をなんとか活用できないかということをまず検討するのが原則だと著者は主張している。意気込みに反してノイズレベルのブランド投資しかできず、資金を無駄にすることがいかに多いか、また、ブランドの乱立が顧客の情報処理を複雑にしてしているとも言う。
この見解は、「ブランドは一つのベネフィットにひとつのブランドであるべき、ブランド拡張や複雑なマネジメントを労するのは顧客にもわかりにくいし、愚の骨頂」と主張するライズ氏とは正反対とも言えそうだ。
私個人は、ノイズレベルの自己満足的投資しかできず失敗するリスクはけっして低くないから、まずは持てるブランド資産をいかに活用するかを真剣に検討しよう、という著者の主張に賛成したい。
しかし、現実にはいったい、誰がそんな事業を越えるような舵取りをできるのだろうかという疑問もでてくるのは事実だ。
とは言え、ブランドを徹底して「全社視点」から「資産」として見て、その効果的・効率的活用をすべきと言う主張は、企業にとって非常に重要な投げかけだと思う。読んでみる価値は十分ある。