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ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS)
 
 

ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS) (コミック)

by 沙村 広明 (著)
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Product Details

  • コミック: 198 pages
  • Publisher: 太田出版 (2007/12/18)
  • ISBN-10: 4778320514
  • ISBN-13: 978-4778320515
  • Release Date: 2007/12/18
  • Product Dimensions: 7.1 x 5 x 1 inches
  • Average Customer Review: 3.3 out of 5 stars  See all reviews (69 customer reviews)
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23 of 29 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars ああ、僕らが最初から、もっと綺麗な魂を持っていたら…!, 2009/9/23
地獄、悲劇と向き合うために必要なのは想像力。しかしそのための情報がシステムに囚われた僕らには届かない。これでは想像力が衰退する。知らねばいけぬ痛みを覆い隠すことが道徳ではない。それは混乱を招かず秩序を維持したがるシステム側の怠慢、臆病さ。 『カラマーゾフの兄弟』のイワンは、地獄を想像できる偉人だったが僕らは違う。何せ平和だ。しかし例えば裏ビデオ業界・風俗業界等に地獄はちゃんと在る。それを悲劇と知らず軽率に受容したり、見ぬふりし黙するのが罪ではない。また、ただ憤ればいいでもなし。願望憎悪や同属嫌悪の言葉通り、軽薄な憤りはかえって偽善的建前のように取れます。『幽遊白書』の仙水のような独善は、そうした見当違いに起因します。僕らは憤るべきなのでなく、ただ、知らなければいけない。そうした犠牲が世界中で払われていると。そうして地獄を想像しきることで初めて生まれてくる感情がある。
それは憤りでなく、優しさというもの。

救済を描き、願望憎悪の裏返りに過ぎぬ「自身の我慢」を正当化し、悦に浸る作家は腐るほどいるが、それは坪内逍遥が批判した勧懲小説と同レベル。読者の作者評価という作品外因子を作中に汲めば物語は説得力を欠く。現実で皆が救済されてるなら良いが、でなければそのように描いてはいけない。それは慎ましさなどでなく作者のエゴ。 ではマルキド・サドが良いかと言われれば否。ああした露悪は、自身の我慢の正当化以上に軽率な下手物。では同じ少女の残酷物語でも他の露悪作と本作は何が違うか。最も大きな違いは、視点。本作を構成するほとんどの短編は、遠景(に悲劇のヒロイン達が同化していく)カットで終わる。少女達を風景と同化させ俯瞰する視点は、少女達に直接感情移入している登場人物(例えばケネス・アービング)達には不可能な視点。それは読者にしか許されない神の視点。風景と少女を同等に扱える神の権利を作者は読者に与える(これは人物と風景を同等に描ける作家で無ければ到底できぬ)。さて、神の権利を与えられた僕らは、少女らに何をしてやれるか。 作者が何故救済を描かずにおいたか、その真の意味が、もう分かる筈。
「こんな目で射られたまま抱けというのか」
そう、これは、自身のエゴでなく、心からの優しさに気付くための物語。
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84 of 111 people found the following review helpful:
2.0 out of 5 stars アイディアの不快な勝利, 2009/1/25
ストーリーは大まかに言うと、孤児院の少女たちがある一貴族の政策によって、
刑務所の囚人に生贄として差し出され性的暴力を受ける、その設定を少女、囚人たち、
少女の恋人(?)、看守、貴族、それぞれの立場から描いている群像劇です。

正直な話、面白いとは言えない作品ですし(そういう内容でもない)、
プロットが優れているとも思えません。ネタばれになってしまいますが、
具体的に言うと、導入話である第一話は置いておいて、

父親が生贄にされた実の娘を救おうとする(第四話)、親友の裏切り(第五話)、
青年が少女を救おうとする(第六話)、真実を求める者が奈落に落ちる(第七話)

どれもありがちなお話です、がこの作品はそういう部分で評価されているわけでは
ありません。レビューしている方々が衝撃を受けたのも、プロットの部分ではなく、
この物語の世界観にだと思います。
貴族に見初められ孤児院を出る少女たちが振り分けられるのは、一方は少女たちの
憧れである華やかな歌劇団の舞台、一方は少女たちが想像もしなかった刑務所での凌辱。
そのどちらも祭り的な性質を帯びていて、天国と地獄の対比のようです(第二話での
少女の「わたしがもっと綺麗だったら、もっと清らかな魂を持っていたら、歌劇団に行けた」
という言葉が、それを暗示しています)
ありがちなプロットをこの悲惨な舞台に乗せて展開させたことが、『ブラッドハーレーの
馬車』の注目に値するところで、言うなればこれはアイディアの勝利です。

全体で言えば、その世界観を最も生かしきった第二話のストーリーがこの漫画の
ハイライトで、その後は段々勢いも衰退していきます(作者があとがきで「最終的には
自分でも何がしたかったのかわからなくなった」と述べている通り)。
要するにテーマがなく、アイディアだけで描き始めたので、どこに落ちをつければ良いか
わからなくなったのですね。最終話では悪は暴かれるが、その悪にも良心があった、
という作中最もありきたりで誰でも描けるところに着地します。

社会派でテーマ性に優れた作品であれば、もっと残酷さを際立たせてラストの妙な救いを
省くか、もっと悪側(ブラッドハーレー氏や男性)の苦悩を強調するかしたでしょう。
自分は女性ですが、この世界観は受け容れられます。ただ、こういう残酷な話をアイディアだけ
で扱って欲しくはなかった。こういう内容を扱うなら、作者の思想を懸けるくらいの覚悟で、
プロットを煮詰めて描いて欲しかった。ラストにはブラッドハーレー氏の所業を暴く契機として
レッドツェッペリンが登場しますが、作者が意図したであろうロック精神など微塵も感じない、
作者の思想も主張もまったく伝わって来ません。
よって、この作品には絶望も救いも本当の意味では存在しない、少女たちの過酷な状況に
対する作者なりの誠意もない。本当の意味で、少女たちの絶望を突き詰めて考えてはいない、
ただのお話、エンターテイメントです。

そして、こういう話をエンターテイメントの薄さで描きながら、群像劇で社会派ものっぽく
まとめるところに、気味の悪さを感じます。しかし、これは所詮趣味の問題なのでしょうか。
マルキ・ド・サドの小説や澁澤 龍彦の作品が好きな人は、読んでみたら良いと思います。

自分としては、こういうエンターテイメントはまったく好きではないので、
全体評価は星2つ、評価したのはアイディアの奇抜さ、絵や構図の上手さ、そして
第二話までは、作者が何かを伝えようとしている、と期待して読めたという点です。
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48 of 63 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars おすすめはできませんが・・・, 2008/3/4
ほかの方々が書いているようにオススメはしません。特に女性の方には。
内容は簡単に言えば少女たちが過酷な運命にあって・・・という話です。基本的に夢も希望もあったもんじゃありません。
明るく楽しく漫画を読みたい人はもちろん、暗い話でも救いがあれば・・・という人でもつらいと思います。
自分も基本的には後者ですが、読後相当陰鬱な気分になりました。

それでもこの漫画に☆4つをつけるのはうまくいえませんが、ここまで衝撃(というかダメージ?)を与えられた漫画はなかったからです。
自分は映画や物語では泣かない人で、これは「所詮作り物だしなぁ」という考えが先行してしまうがゆえだと思っています。
例外なく、この作品も作り物っぽさが無論あります。ですが、なんというか「絶望」とか「人の陰」みたいなものの描き方が異常に本物っぽいというか。
読者を絶望させる、という一点がとんでもなくズバ抜けています。
この漫画を評価するにはあまりにも日本語が拙いと言わざるを得ませんが、それでも誰かに読んでみて欲しい、
でもオススメは本当にできないと思わせる漫画でした。
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