タイトル『ブラック・ダリア』、監督ブライアン・デ・パルマ、原作者エルロイ。
強烈にそそられる「字面」が並んでいて、「ブラック・ダリア事件」という実際に起きた猟奇殺人事件を基にしていて、それが未解決で、さらにはスカーレット・ヨハンソンなんていう希代のセクシー女優が出ている。それはそれは、人間の闇のさらに暗部まで突き詰めたような、淫靡で眩暈のするような作品に仕上がっているんだろう。
と、ここまで期待を込め過ぎたことは反省するとしても、雰囲気だけハッタリかました、とっ散らかった映画だったと言わざるを得ない(いやいや、この技巧を凝らしてハッタリかました雰囲気こそデ・パルマなんだよ!と言う人もいるだろうけど)。
何より、物語に集中できない、のではなく、物語が「集中」できていない。
『ゾディアック』のように、猟奇事件にまつわる謎を追いつめるうちに、狂気に取り憑かれる刑事たち、というのがストーリーの核のはずなんだけど、主演のジョシュ・ハートネットの冷めた表情からは伝わってくるものが少なく、取り憑かれていくきっかけも過程も丁寧に描いてないから全然盛り上がらない。
しかも信じられないことに、映像的なハイライトは物語の本筋とは離れたところで巻き起こってしまう。そこで頑張り過ぎて尺が無くなったのか、刑事は一気に犯人の核心に迫ってしまい、最後は有り得ないハチャメチャを起こし強制終了。カタルシスゼロ。「ブラック・ダリア」事件と、刑事自身の人間関係を下手に交錯させ過ぎてて、実にどっちつかずだ。
キャストも、ジョシュ・ハートネット、スカーレット・ヨハンソン、アーロン・エッカートにヒラリー・スワンクと豪華なんだけど、アーロン・エッカート以外さしたるインパクトを残せていない。ヒラリー・スワンクは演技の出来以前に、ストーリー上の重要要件を満たす外見とは言えず、致命的なミスキャスト。