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ブラック・レインボウ [VHS]
 
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ブラック・レインボウ [VHS]

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登録情報

  • 出演: ロザンナ・アークエット
  • 監督: マイク・ホッジス
  • 形式: Color, Subtitled
  • テープ数:: 1
  • 販売元: バンダイメディア事業部
  • VHS発売日: 1991/05/22
  • 時間: 110 分
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
  • ASIN: B00005EF46
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By Bo-he-mian トップ500レビュアー
ディープ・サウスにのたうつ狂気。
北米大陸に巣食っている、人智を超える何か邪悪なものについては、いずれ書こうと思っていたが、図らずもこの映画が皮切りになってしまった。この映画は、アメリカ南部・中西部を舞台に、霊的信仰の世界を描くかに見えて、その得体の知れないものは「葛」という形をとって、物語を侵食する。

霊と対話をする能力をもつマーサ(ロザンナ・アークエット)は父のウォルター(ジェイソン・ロバーズ)と共にアメリカ南部から中西部をかけて巡回し、霊媒ショーを行っていた。彼女はイタコのように死者の言葉を「口寄せ」し、愛する者を失った人々の心を癒す。しかしある時、彼女は生きているはずの人間の声を拾ってしまう。そして、どのように亡くなったかを語り、その「予知」は現実となってしまう。この不可解な事件を追う記者、ゲイリー(トム・ハルス)が見たものとは・・・。
見るものを唖然とさせる、「理解の範疇を超えた」ラストが待ち受ける。

「幻視」や「ドッペルゲンガー」といった怪奇・幻想もののお約束的な設定をちりばめ、スピリチュアルな世界を舞台にしたサイキック・スリラー、と思わせておいて、突如この物語は「葛」というアメリカ南部特有のツタ科の植物・・・思わぬ伏兵によって侵食され、覆われていってしまう。何やら抽象的な表現のように聞こえるかもしれないが、他にどう説明したら良いか分からない、のだ。そう、この映画は、安易なジャンル用語で説明する事を許さない作品なのである。

オリジナル脚本を自ら書いたのは「オーメン2」や「死にゆく者への祈り」のマイク・ホッジス監督。映画監督の中には、才能があるにもかかわらず不遇の扱いを受け続ける者も決して少なくないが、ホッジスも、残念ながらその例にもれない。この映画が、アメリカ本国ではどのような評価を受けたのか気になっていたのだが、海外ではまともな形での公開すらされず、特にアメリカではケーブルTVの放送のみ、といった酷い扱いを受けたという。日本では劇場公開され、一番「まとも」な扱いだったとの事だが、映画ファンからはほとんど忘れ去られてしまっているようだ。いたしかたないとはいえ、ネットで調べて見ると、軽薄で浅はかな視点でこの映画の価値も分かっていないくせに悪口を書き立てているアホもいる。だったらわざわざ書くなよ、と言いたい。しかし中にはとんでもないマニアの方もいるようで、ホッジス監督の熱烈なファンサイトを開設している方もいる。筆者などよりずっと深く本作について考察しているので、興味を持たれた方はぜひ「deadsimple.」というサイトをご覧下さい。

さてこの映画は、密かに出演陣がグー。アル中のダメ親父を演じる、名優ジェイソン・ロバーズ、不可解な世界へ迷い込む、好奇心旺盛な記者を「アマデウス」でモーツァルトを演じたトム・ハルスが、そして、聖俗併せ持つ印象的なヒロイン、マーサを演じるのはロザンナ・アークエット。
割と堅実な女優キャリアを積んでいる妹のパティと比べると、「パルプ・フィクション」や「隣のヒットマン」など、“キレた感じのコワい姐さん”の印象が強いロージーだが、本作は「グレート・ブルー」でブレイクした直後の、若かりし頃。
聖女かと思いきや、ちょっとヤサグレモードで煙草ふかしたり、白衣の下にはやたら挑発的な黒いスゴイ下着を着てたり、抑圧された色香が何ともたまらないキャラクター。う〜ん、こっちの方向でキャリア積んでくれたら迷わず信者になったのに。

ホッジス監督によると、近代の宗教や物質主義的な思考は、自然への敬意を失った誤った道であり、それに警句を与えるキャラクターとして「予言者」=ヒロインのキャラクターを思いついた、という。その言葉通り、この映画のラストでは、人智を超えたものが記者ゲイリーの見てきた世界の記憶を侵食してゆく。
かつてアメリカの近代ホラージャンルの黎明期では、こうした「不可解」なものの存在がスクリーンの中でちゃんと描かれていた。「悪魔のいけにえ」にしてもゾっとする瞬間は、チェーンソーをかざして追いかけてくるレザーフェイス、ではなく冒頭の農場で、人の気配がないのに、なぜか大きな音をたてて鳴っている発動機・・・という「気配」の怖さを見事に描いたシーンだ。「悪魔のいけにえ」の何が怖いかと言うと、“アメリカの田舎には頭のおかしな連中が居る”ことを描いた事ではなく、彼らがいかれてしまった元凶としての“土地”との関係を暗示している点、なのである。「十三日の金曜日」でも第1作の、あのラストシーンは、その後シリーズ化され「ジェイソン」という単なるキャラクターに成り下がってしまってからは失ってしまった、得体の知れない「何か」が宿っていて、恐ろしい。それは、南軍くずれの兵士が悪霊に追跡され、一人一人殺されてゆくカルトウェスタン「チカラ」と同じく「土地に巣食う邪悪」を感じる瞬間の“戦慄”に通じる恐怖なのだが、昨今のホラーは、もうそういったものの存在が希薄になってしまい、単なる暴力展覧会とキャラクターショウに成り下がってしまった気がする。残念だ。

海外では、アンカーベイUK社から、監督の音声解説などが収録されたコレクターズ・エディションが発売されているらしい。
「ブラック・レインボウ」、「チカラ」などの“失われた戦慄”をDVD時代に取り戻そうではないか。
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