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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
重厚感溢れる秀作,
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レビュー対象商品: ブラック・マネー (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-8) (文庫)
R.マクドナルド円熟期の代表作の一つで重厚味を感じさせる作品。事件の行方と共に、増々老成して行くアーチャーの動向も気に掛かる。素性の分からぬ男の元へと失踪したフィアンセを探して欲しいと言う依頼を受けるいつもの発端。その男はラスベガスに悪い仲間を持っているらしい。アーチャーは娘の行方を追うが、娘一家の周辺で7年の間に殺人事件が3回起こっている事を知り、失踪事件の裏にただならぬ気配と不気味さを感じ始める...。アーチャーは自身の老いを意識し始め、幻想の中で依頼人を息子のように錯覚したりする。そこには「動く標的」時のような活動的な姿はなく、諦観に満ちた観察者がいるだけである。ファンとしては、これからのアーチャーの行方も気に掛かる。本作では、エルドラドに絡んでアメリカの中南米政策批判を展開する辺りが目新しいが、やはり最後に暴かれるのは醜悪とも言えるアメリカ成人の幼児性と家庭の悲劇である。これをアーチャーが質問を繰り返す事で、果物の皮を一枚づつ剥がして行くように明らかにしていく所が醍醐味であろう。 晩年には、このパターンがマンネリ化して読む方も苦しくなるのだが、本作では細かい仕掛けが用意されていて構成が複雑になっており、真相解明の過程に読み応えがある。題名の「ブラック」の由来も趣向の一つ。読む者をじっくりと圧倒する円熟期の秀作。
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