ネオ・スウィング・バンドでありながら、パンクロックを基調にしたジャイヴ感覚はASA-CHANGのものともEGO-WRAPPIN’や東京スカパラとも違う、ダーティでチョイワルなクールさを湛えます。ジャズが持つレトロさと男の不良さがロックするクロスオーヴァーな音が鳴っているのがこの“勝手にしやがれ”というバンドです。メンバーはリーダーの武藤昭平(ドラムス&ボーカル)、田中和(トランペット)、福島忍(トロンボーン)、浦野正樹(ベース)、田浦健(テナーサックス)、飯島誓(バリトンサックス)、斉藤淳一郎(ピアノ)。スーツに身を包み、ストイックで漢くさくも踊り出したくなるスウィングやグルーヴを作り上げてきます。特に武藤氏の声は、チバユウスケほど完成されたオーラではないものの、彼のようにガラガラした声で乾坤一擲の力を叩きつけガナり倒すVo.になっており、当に各楽器を引っ張るエネルギーの源というような存在感でした。
作品はほぼ歌もので、THE ZOOT16やEGO-WRAPPIN'、オダギリ・ジョーとのコラボや、資生堂unoタイアップ曲になった「U-K」「U-K-2」(どちらもインスト)収録と、聴き所もたくさんあります。特に「チェリー・ザ・ダストマン」におけるオダギリ・ジョーのVo.が非常に素晴らしいんです。ガナリつつも音程のバランスが抜群で、なによりパンクにおける重要な歌表情のニヒルさが完璧なんですね。一方EGO-WRAPPIN’の中納良恵が参加する「ヴェルモット・フラワーズ」では彼女の力で最もしなやかさをみせる楽曲に。その涼と熱が並立する歌声が、武藤氏にない伸びやかなレガートを音楽に与えるからです。
他にも「ブラック・マジック・ヴードゥー・カフェ」の華麗さから「バニー・ホップ」の古きよきビ・バップまで実に多様な旋律をみせ、どれも映画のワンシーンのような生き生きとしたナンバーが多く最後まで一気にきかせる勢いがありました。