本作のストーリーは、幻想と現実が入り組んだ仕掛けになっている。
この作風は好みが分かれるところだろうが、何せ監督がD・アロノフスキーだから
仕方ないじゃないか(笑)。わかりやすい映画など撮るはずもない。
過去にも「鏡」をモチーフにした作品は多いが、ブラックスワン=分身とするなら
黒=邪悪な方が鏡に映し出される感覚は新鮮だ。
本作をプリナドンナの成長ストーリーだと思って観ると、とんでもないことになる(笑)。
これは「白鳥の湖」に名を借りたホラー映画なのだから。
N・ポートマンは本作でオスカーを得た訳だが、その取り憑かれたような表情と演技は
まさにウィナーにふさわしいものだ。
バレエの出来不出来は良く分からないが、ダブルはほとんど使っていないようなので、
これまただいぶ苦労したのだと思う。
対するW・ライダーの鬼気迫る芝居にも圧倒された。
10年前ならウィノナが間違いなくナタリーの役を演じていただろうから、
現実も「ピークを過ぎて新世代の脇を固める役」という悔しい思いがあったはずだ。
ふたりのシーンのピリピリ感は、映画だけの世界観ではなかった。
特典映像もオールHDで、メイキングや主要キャストのインタビューなどが収録されている。
劇中は怖い表情が多かったナタリーが、素で応えるインタビューはやはり可愛いぞ(笑)。
ダーレンの頭の中は相変わらず「ヘン」なところもあるが、これも天才の証だろう。
冬のマンハッタンで、それも日本映画並の43日で撮り終えた話など、予算との戦いだった
という裏話も聞ける。
正直万人に勧められる作品ではないが、サスペンスホラー系統が好きな方はぜひ。
星は4つです。