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ブラック・スワン降臨―9・11‐3・11インテリジェンス十年戦争
 
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ブラック・スワン降臨―9・11‐3・11インテリジェンス十年戦争 [単行本]

手嶋 龍一
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

手嶋 龍一
1949年、北海道生まれ。卓越した文章力と取材力で知られるジャーナリストにして作家。NHKワシントン特派員時代に、次期支援戦闘機をめぐる日米の暗闘を描いた『たそがれゆく日米同盟』を、さらに湾岸戦争時の政治指導部の迷走を衝いた『外交敗戦』を相次いで発表し注目を浴びる。9・11同時多発テロにワシントン支局長として遭遇し、11日間連続の中継放送を担った(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 248ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/12)
  • ISBN-10: 4103823054
  • ISBN-13: 978-4103823056
  • 発売日: 2011/12
  • 商品の寸法: 19.2 x 13 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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43 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
一気に読了 2011/12/8
By スワン トップ500レビュアー
<インテリジェンス>という視点に立って、2001年の9・11同時多発テロから、2011年の3・11東日本大震災/原発事故までの10年間を検証したノンフィクション。

ちなみに<インテリジェンス>とは、単なる極秘情報ではなく《国家指導者の最終決断の拠り所となる選り抜かれた情報》(28ページ)とされる。
ついでにいえば、タイトルの<ブラック・スワン>とは、《ありえない事態が現実となることの隠喩》(本書の扉)だ。

<米本土攻撃>と<福島原発>のメルトダウンという、2つの<ブラック・スワン>降臨のあいだに――(1)どのようなインテリジェンスがおこなわれ、(2)それがいかなる結果をもたらし、(3)日米首脳の決断にはどんな差が出たか、といったことが中心に記されている。
いくつか、目についた記述をメモしておく。

・同時多発テロの1〜2年前、ビンラディン(すでに自爆テロを指揮していた)を国内に抱え込んでいたスーダンは、アメリカに身柄引き渡しを提案したが、当時のクリントン大統領はそれを拒否している(73ページ)。
 
・米史上はじめて、本土攻撃という<ブラック・スワン>の降臨を受けたブッシュ大統領は、アフガン開戦に突き進む。すると、《インテリジェンス機関は、政治指導部の決断に迎合した情報を報告してくる》(135ページ)ようになる。

・「イラクが大量破壊兵器を隠している」という米国製インテリジェンスは間違っていたことが判明、小泉首相が国会で「ブッシュ支持」を突き上げられていたとき、「イラクが核開発を進めていた証拠がある」という謎のイラク人が登場。官邸は機密費で1か月間、高級ホテル住まいをさせて情報を収集したが、まったくの<がせネタ>だったという(145〜7ページ)。

・そして2011年、今度は福島に<ブラック・スワン>が舞い降りた。《国家の命運を左右する局面での決断に持てる全てを注いで、淡々と結果責任を担ってみせる》(232ページ)べきであった菅首相は、なんとヘリコプターに乗って福島原発に降臨、《官邸の「インテリジェンス・サイクル」は機能不全に陥って》(233ページ)しまった。

・他方、10年のインテリジェンスの末、やっとビンラディンがパキスタンに潜伏していることを突き止めた統合作戦司令部はオバマ大統領に「襲撃」の決断を迫る。パキスタン政府には内密に作戦を実行することに逡巡しながらも、《作戦命令書に遂に署名》すると、《決行までの三日間、オバマはポーカーフェイスを装い続けた。その見事な演技はシェークスピア劇のローレンス・オリヴィエも舌を巻くほど》(16ページ)だった。

このほか、北朝鮮の核開発や中国の海軍拡充、そうしたなかでの日米同盟の弱体化などに触れた内容は(すでに報道から知っていることも少なくはないが)、読む者の心胆を寒からしめる。
日本と諸外国の<危機管理>のあまりの落差にゾッとしながらも、私は一気に読了してしまった。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By uh312
先日より思うところあって著者の本を連続して読み進めている。スギハラダラー、ウルトラダラーの主人公(BBC特派員の名詞を持つイギリスの諜報部員スティーブンス)の活躍は読み慣れてきたが、それらの小説群の真骨頂は背後の描写における異様なまでの細部にわたる書き込みにある。小説の質の骨格を背景描写が埋めている特徴のせいで、手嶋の小説に私はいつも司馬遼太郎の小説に近い独特の印象を受ける。

本書はその著者によるノンフィクションの最新刊だ。東日本大震災での被害を拡大した菅直人のヘリコプターはなぜ福島第一の上空を飛んだのか。行間から察するに、東京の株式市場の大暴落の恐怖が菅直人にあったからではないか、と考えているかに見えた。本書の一読後の印象から振り返って個人的に考えてみたのだが、菅直人に危険を察知する最低限の能力はあったものの、やはり彼個人の政治家として持つべき優先順位の致命的な判断ミスの責任は否定できないように思われる。

他に印象的だった点を述べると、この著者は一見すると鳩山外交を一方的に断罪しているかに見えることが多いものの、一連の作品を私が読んだ限りでは、意外にも必ずしも民主党政権を全否定してもいないように見えることがあるというのは言い過ぎだろうか。細部については例によって彼の作品シリーズを読んで著者お得意の隠蔽の筆致を解読するしか術がないわけだが、これはおそらく彼の情報源と関係しているのではないかと私は個人的に推測している。小説形式での彼の語り口に慣れてきた私自身には、それとはちょっと違うノンフィクションにおける著者の真意のぼかし方にまだ慣れていないので星は4つにとどめたいが、この好みはひとそれぞれであり星5つでもおかしくないと思う。
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10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 閑居人 トップ100レビュアー
Amazonが確認した購入
湾岸戦争の真実と日本の外交敗北を描いた「外交敗戦」以来、著者が追求してきたことは、「国家」とそれを支える過酷な「インテリジェンス戦争の現実」を読者に訴え続けることである。この点において、元外交官佐藤優氏と著者は最も優れた書き手の一人である。
本書は、「2001.9.11〜2011.3.11」に起きた「インテリジェンス十年戦争」を、二つの「ブラックスワン降臨(想定外の深刻な現実)」に譬えて、その間に起きた覇権国家アメリカのイラク戦争の失敗とイスラムテロ組織との熾烈な戦い、アジアに於ける日米同盟の危機、深刻な日本の政治外交の萎縮を、自らの取材経験を交えて描いたドキュメンタリーである。
本書の冒頭で、著者はまずビンラディンの拿捕と殺害プロジェクトを指示したオバマ大統領の周囲を欺く演技と覚悟を描く。アフガン戦争におけるアメリカの同盟国パキスタンは、複雑な国である。インド、中国、アフガン、イラン、イラクとの関係においてパキスタンはアメリカの同盟国にも敵対国にもなる国家である。そのパキスタンが密かに匿うビンラディンをアメリカがアフガン国境から急襲して殺害することを担保する国際法は存在しない。失敗すれば、イランで人質救出に失敗したカーター大統領の悪夢が甦るだけである。だが、モーゲンソーが言うように国際政治において法的担保を過度に配慮することは、不作為と悪手しか生まない。オバマは、全ての責任を自分で負い、決断した・・・。

読者は、アメリカのイスラムテロとの戦争と、その間に手薄になったアジア情勢の中でこの十年間に起きた「日米同盟の危機」に震撼せざるを得ないだろう。その詳細は、直接、本書に当たっていただきたい。当時報道されていたことの真偽には、驚くべきことが多数あることに気づくはずだ。
著者は一貫して次のことを読者に訴えたいかのように見える。
「日本は、日米同盟を堅持しなから、独立国家として誇りを賭けて生存していく覚悟があるのか」「インテリジェンス戦争は永遠に続くものと覚悟しなければならない。それは、『日本版CIA』を創設すればそれで済むというような安易なものではない」「国際政治の現実は、成功と失敗は隣り合わせである。情報機関は政府首脳に迎合した情報をあげがちであり、不祥事もダブルエージェントもなくならない。そういったリスクの全てを負って、インテリジェンスの世界で生きていく覚悟が本当にあるのか」
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