「症例カルテ」では前作の構成を引き継ぎ、科ごとに症例を分類し5段階評価を加えている。医療技術的なアプローチ以外にも、人間としての尊厳など倫理的な問題や医師としての在り方に言及するものも多く、現場の医師たちの直面する問題の奥深さが垣間見える。また「コラム」ではブラック・ジャック邸や無菌テントなど、ファンにはおなじみの設定や小道具について解説している。そして「架空手術鼎談」は前作「架空症例対談」の発展形ともいえる内容で、若返りや脳入れ替えの可能性の模索や、宇宙人や幽霊、そして自分自身への手術についての検証が行われる。
今回の目玉は、まったくの新企画となる「心の闇を斬る」だ。精神科医の襟草甚一をブラック・ジャックとキリコの妹ユリが相談に訪れるというシチュエーションで、ピノコをADHD(注意欠陥・多動性障害)、ドクター・キリコをPTSD(心的外傷後ストレス症候群)と診断する様をコミカルに描いている。なお、巻末の「執筆者プロフィール」には、執筆者たちのブラック・ジャックの思い出や医療にかける思いが詰まっている。(大脇太一) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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本書のメイン・コンテンツである現役医師による症例の評価は、「ブラック・ジャック」に対する愛情に満ちあふれているし、何しろ読んでいてとても楽しい。特に、「私ならこうする」では、現代医療の視点からの症例の再検討がなされていて、現代医療の着実な進歩を門外漢にも十分に理解させてくれる。
また、「架空手術例鼎談」は、前作同様、思わず笑ってしまう個所が随所にあるし、知的ゲームとして読んでもとてもスリリングである。ブラック・ジャック邸の図解や、無菌テントにはどこから入るのか?などのコラムも楽しい。
この本を編集された方々のような医師が今後医療界の中枢で活躍されるようになれば、日本の医療の未来は明るいと思えるほど、上質の本に仕上がっている。
BJは完全無欠な外科医かと勝手に思っていたが、そうではないようだ。(とはいっても専門を超えたスーパー医師であることは確かだ。)それだけ生命・人体や病気については、まだまだわからないことがたくさんあるということか。
BJファン、手塚治虫ファン、そして医師の方々にはぜひ読んで欲しい本だ。
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