不動産ファンドや証券化、投資事業組合、MSCBなどといった錬金術的金融手法を利用して肥太る暴力団マネーとその手口について、独自調査も絡めて現状を丁寧にフォローした好著。描かれるのはあくまでも資金が闇経済に吸い込まれるまでのプロセスであり、地下経済の実態そのものが描かれている訳ではないが(実際、取材は極めて困難であろう)、秀和紀尾井町TBRビルやランディック赤坂ビルの地上げの真相、ライブドア事件、アーバンコーポやスルガコーポの破綻、メガバンクや新銀行東京の杜撰融資、「黒い目の外資」の暗躍、故意であると否とを問わず「共生者」の存在等々、今日の国内金融状況を読み解く際の手掛りとなる鍵事件が満載されている。
それにしても、本来収益還元法により理論上は厳密に値付けされるはずの不動産が、投資目的が賃料狙いからキャピタル・ゲイン狙いに変化した瞬間、暴騰を始める様(正にバブル誕生の瞬間)を描いたくだり(83頁)やデリバティヴや債権流動化といった近時のファンド組成金融技術がマネロンに「うってつけのスキームを提供するものだった」との指摘(229頁)は、示唆に富む。なお、216頁に登場する「X氏」とは、1998年4月にスズケンに吸収合併された秋山愛生舘の御曹司のことと思われる。(秋山新氏、元RQの芳賀美里嬢との関係も有名。)