OVAという形式の比較的初期に製作された中篇だが、SFアクション映画として、驚くべきことに最高傑作の一つ。時期的にはターミネーターの後追いだったと思うが、ロボコップ、マトリクス等一連の同ジャンル作品の精髄と言える。特筆すべきはその緻密かつ「人間離れした」アクション設計とリアリティの追及である。
まずアクション。硬い外殻と軟らかい関節を持ち、小柄ながらも途轍もない重量とパワーを秘めたアンドロイド達。士郎正宗は極めて厳格かつ大胆にその可動パターンを構想し、前代未聞の動きの数々を引き出して見せる。人間ではあり得ない縦の動きと落下質量、人体を貫き樹木を粉砕する拳、拳法の達人のようで居て、実は冷たい兵器の選んだ力学的最適軌道に過ぎない立ち回り。歩くだけで砕ける床やひしゃげる鉄製ステップ。こうした工学的な正確さについて本作を超える作品は未だ出ていないのではないか。
そしてリアリティ。ヒロインや軍人、科学者達など多くの人物が登場するが、彼らは普段は別の生活や職務を持ち、たまたまこの事件に巻き込まれたに過ぎない。従って彼らは事件に立ち向かいつつも従来の日常をも継続している。画面内に複数人物が居れば多くの場合その数だけの演出フォーカスとマイクがあり、彼らは重なるように会話を続ける(このように複数の異なる会話が同時進行する演出は、解り易さを優先する一般の芝居や映画では余り見られないものだが、作者は視聴者が追随できる限度を弁えており、その手前でセーブしている)。シンプルなストーリーながらも、それらの細かな芝居を通じて彼ら一人一人の性格'''関係、そして世界設定の拡がりが垣間見られる。
本作を原語で鑑賞しそのテーマについて想い巡らすことのできる我々は幸せである。作者は以後漫画媒体に戻り、今後も映画製作に携わることはもう無いであろうが、彼が描く漫画の裏にどのようなイマジネーションが働いていたのか、その片鱗を伺わせてくれたという意味でも貴重な作品だと思われる。