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ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い
 
 

ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い [単行本]

レオナルド・サスキンド , 林田 陽子
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

「情報のパラドックス」という問題をめぐって、理論物理学者のレオナルド・サスキンドはスティーヴン・ホーキングと20年以上にわたって論争を続けた。本書はその理論的対決の物語だ。

「情報のパラドックス」とは、ブラックホールに落ち込む粒子の情報は永遠に失われるのかという問題である。ホーキングは一般相対論の立場からその情報は永遠に失われると論じた。それがサスキンドのいう「ブラックホール戦争」の始まりだった。

サスキンドによれば「情報の保存」は「物理法則の時間的な可逆性」という形で物理学に深く刻み込まれていて、ホーキングの主張は物理学の土台に爆弾を投下することに等しかった。サスキンドはホーキングの主張に抵抗し、ゲラルド・トフーフトとともに情報が失われることはないという論陣を張った。
この論争が重要であるのは、量子論と一般相対論をいかにして調和させるのかという問題に結びついていたからである。量子論と一般相対論は物理学のもっとも根本的な理論でありながら、互いに両立できないままだ。ブラックホール戦争は、ふたつの理論を調和させることを目指した新しい物理学の基本的な枠組みをめぐる、熾烈な格闘だった。

20年以上に及ぶ論争から「ブラックホールの相補性」や「ホログラフィック原理」といった新しいアイデアが生まれ、それらは今では世界中で盛んに研究されるにいたっている。ブラックホール戦争によって、物理学にパラダイム・シフトが起こったとサスキンドは断じている。
サスキンドは理論的な対決の物語を遊び心たっぷりの読み物に仕上げた。読者を楽しませるための仕掛けが本書にはたくさんちりばめられている。サスキンドは「エネルギーとは何か」「物理学でいう情報とは何か」「情報の保存とは何か」「エントロピーとは何か」といったもっとも基本的なことからていねいに説明しているので、本書を読むのに特別な知識はまったく必要ない。本書の隠れた主題は、物理の面白さを伝えることにある。本書は物理学への賛歌であり、物理の考え方の本当の面白さを心ゆくまで堪能できる一冊だ。

内容(「BOOK」データベースより)

ホーキングが物理学の土台に爆弾を投下した。それは「空間と時間の新しいパラダイム」にいたる戦争の始まりだった―新しい物理学への招待。

登録情報

  • 単行本: 560ページ
  • 出版社: 日経BP社 (2009/10/8)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4822283658
  • ISBN-13: 978-4822283650
  • 発売日: 2009/10/8
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.4 x 3.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
ホーキングが場の量子論と一般相対性理論を結びつけて出した「ブラックホールは放射を出しながらエネルギーを失って蒸発する」という衝撃的な結論が世に問われてからもう30年以上の月日がたつわけですが、これまで正直ホーキング放射というものを、いずれ統一されるべき量子力学と一般相対性理論を巧みに組み合わせて、今日の時点で計算できることを計算してみせたくらいのものとしか認識していませんでした。しかしその認識は間違っていたのですね。ホーキング放射がブラックホールから出てきてしまうという量子力学にもとづく計算結果は、一般相対性理論の基礎にある原理たる等価原理と量子力学の不可避の帰結たる不確定性原理、これら現代物理学の根底を支えている2つの根本原理が原理的に矛盾しているというあまりに重大な事実を白日のもとにさらすものだったのですね!

等価原理によればブラックホールに自由落下する運動をしている観測者には重力の影響は存在しないのだから何事もなくブラックホールの事象の地平面を越えていくはずだが(落下する観測者にとっては地平面自体がない)、量子力学によればブラックホールの地平面はホーキング放射でおおわれているはず。ブラックホールに落ちていく観測者には何もないはずの地平面が、外部の観測者から見ると放射で満ちている。ブラックホールに落ちていく観測者は放射を浴びるのか?浴びるとしたらアインシュタインの等価原理が破れていることになるし、浴びなければ量子力学の真空理解が間違っていることになる。もちろんどちらの原理も間違っているはずはないのである!・・・ということなのだと理解しました。こんな度肝を抜くようなすごい話だったなんてホーキングがらみでこれまで読んだ本書以外の本では全然わかりませんでしたね。

ホーキング自身はこの2つの大原理間の矛盾を適切に解決したというわけではなかったようですが、しかしこれほどの根本的な重大問題を提起しえたという一点で、サスキンドも認める通り、やはりホーキングは科学史上に燦然と輝く最も偉大な理論物理学者の一人なのでしょう。
このレビューは参考になりましたか?
12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Jupiter
形式:単行本
ブラックホールに落ち込んだ情報がどうなるのかをめぐって争われたブラックホール戦争。
かの有名なホーキング氏は、情報は最後はブラックホールともに蒸発して失われると主張した。
これに対して著者のサスキンド氏は、情報はホーキング放射でもどってくることを、ブラックホールの相補性原理(邪魔されることなく地平線を越えていくことも正しく、ひどくかき混ぜられて光子として粒子に戻るということも正しい)とホログラフィック原理(ブラックホールの内部の情報量の保存限界はその表面積に依存する)をもとに対抗した。

アインシュタインの相対性理論やハイゼルベルクの不確定性原理からはじまり、難しいことを巧みな例を引き合いに出しながらおもしろく、わかりやすく説明しています。

また、著者が何度となく述べている頭の再配線・パラダイムシフトは、物理学の世界の話だけではなく、世の中一般のこととして心に留めておくものでもあると感じました。

理解できないところも多々ありましたが、多くの人が興味を持つブラックホールや相対性理論の世界へと誘う、まさにこのようなものを期待していた、というような書でした。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 酌人
形式:単行本
サブタイトルに著名人であるホーキングの名を入れず、「ブラックホール戦争」だけだったなら、かなりの購買層にスルーされたのではないでしょうか。ホーキングとの熾烈な論争みたいな内容を期待すると肩透かしを食らうと思います。著者自身、この議論は目立つことなく交わされたと書いているとおり、人間的な闘争とは無縁です。その点、このタイトルは大げさ過ぎると言えるでしょう。
要は、ブラックホールに落ち込んだ情報は最終的に消滅するとしたホーキング陣営と、情報は保存されるとした著者陣営の論争が主題で、著者陣営が勝利したとしています。また、この論争の過程で、ホログラフィック原理などが著者らにより提唱され、理論物理学のパラダイム・シフトが起こった、あるいは始まりつつあると言っています(個人的にはひも理論からして停滞しているし、そこまでいっていないように思えるのですが)。
かなりのボリュームを、相対性理論、量子力学、情報とエントロピーの解説に費やしていますが、さすがにこういうところは大学の教授らしく筆達者なので飽きることなく読むことができました。しかし、著者が語ろうと努めたという物理学者の人間的な要素については、物足りないというのが正直な感想です。かえって掘り下げが足りないために、著者が誤解を解きたいという物理学者のイメージ「世間ばなれした問題に夢中になっている変人」の感が強まってしまったような気すらします。物理学者が学者仲間のことを書くのは、サイエンスライターが取材に基づいて書くのに比べ難しいことなのかもしれません。
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