NASA X線衛星CHANDRAは可視光では見えない宇宙の真実を幾多も解き明かしてきた。チャンドラ(英語発音ではシャンドラ)は数学で白色矮星の上限質量を見出した。当時はシリウスBが解明されつつあり、恒星の一生の謎、ひいては恒星のエネルギー源、さらには原子理論が解明される原子理論物理学の爆発的発展期であった。オランダ、ドイツ、ソ連の優秀な科学者達の業績と苦悩も紹介され、その中でのチャンドラとエディントンの自分が信望する理論のぶつかり合い、またチャンドラだけではなく、エディントンの周囲の学者、とりわりミルンに降りかかる不幸も当時のケンブリッジ内の権威主義に翻弄せざるを得ない。後半は、チャンドラがアメリカに渡った後の中性子星、ブラックホールの解明の歴史がマンハッタン計画と背中合わせにあったことが様々の人物の私生活も垣間見ながらわかりやすく詳しく紹介されている。人間界の繁栄と罪の歴史的繰り返しの重要な一例でもある。