本書はブラックストーンの事業展開とその経営者に焦点をあてながら、Private Equity Fundという日本の一般世間では馴染みの乏しい、あるいは「ハゲタカ・ファンド」というイメージでひと括りにされがちな米国の投資ファンド業界の80年代から金融危機を経た現在までの歴史を描いている。
金融・投資に関して基礎知識のない読者には、本書で次々と登場する金融用語にめんくらうかもしれない。しかし、それは米国の金融・投資業界の急速なイノベーションを物語るものでもある。米国の金融・投資業界は(金融・投資に限らないが)、旧いビジネスモデルがどんどん陳腐化し、新規参入者が新しい手口(ビジネスモデル)で登場する熾烈な競争環境が、時にバブルとその崩壊を引き起こしながら展開する世界であるとを感じる。
「企業を買収し、リストラして、企業価値を上げて儲ける」という論理に、情緒的な抵抗感や反発を感じる読者も少なくないかもしれない。
しかし、その根底にある米国の投資文化、エクイティー・カルチャーは米国経済のダイナミズムの不可欠な要素となっていることを本書を通じて知るだろう。
単純化して言うと、米国の資本主義は「肉食系」であり、日本のそれは「草食系」と呼べるコントラストがある。
それぞれ問題を抱えているが、どちらに未来があるか? 別の新しい成長のパターンが登場するか?
そうしたことを考える下地として読んでおく価値のある一冊だと思う。