ジョン・ウーが大好きだという方々、この作品を見ていないのであれば、ぜひともレンタルビデオ店に駆けつけてください。とてもではありませんが、5000円以上を出してDVDを買うべき映画でないことは確かです。しかしながら、ぜひともジョン・ウーのファンであれば見てほしい作品であることも、また確かだと考えます。
これを読んで頂いているジョン・ウーのファンの方々、あなた様が彼の映画を好きになったきっかけは何ですか? 「男たちの挽歌」? 「フェイス/オフ」? それとも「MI2」ですか?
これらのいわゆる「傑作」と評価された作品群と比較しても、この「ブラックジャック」における、監督の演出・力量は全く見劣りしないと考えます。いつものように美しくジョン・ウー節は炸裂し、本当に見応えのある映像が展開されます。
ではどうしてDVDを買う必要がないのか。それは脚本が全くひどいからです。とにかく爆笑もののストーリーで、これほど最低なお話でも最後まで画面に引きつけられるのは、逆を言えば監督が頑張っているからでしょう。
レンタルビデオでの鑑賞をおすすめするのは、まるでジョン・ウー作品を上質にパロディしたような錯覚を味わえるからです。スローモーションの巧みさ、アクション・シークエンスの独創性だけが光り輝き、後の要素―主人公の心の動きや、台詞の内容など―は全くもって頂けません。そのギャップのひどさは、冗談抜きに一見に値します。しかしながら、あくまでも300円~500円の範囲内ということで、レンタルビデオでの鑑賞をおすすめした次第です。どんな駄作でも監督を引き受ける姿勢こそ、本当の職人監督と呼ぶべきではないでしょうか。逆説的に聞こえるかもしれませんが「ブロークン・アロー」より、こちらの方が面白いと思います。