本書は、ブラジルの都市問題としてのファベーラ(不法占拠)に着目して、12名の著者がそれぞれの視点から事例研究をまとめたものである。事例として挙げられている都市は、サンパウロ、リオデジャネイロ、ブラジリア。制度面としてのケーススタディとしては、参加型予算、MSTなども取り上げられており、ブラジルのファベーラを知る上では極めて有益な情報を提供してくれる。ブラジル絡みの本はそもそも多くないが、あってもジャーナリストやビジネスマンが執筆するものがほとんどで、その表層的、そして手前勝手な考察が気になっていた。本書はブラジルの研究者が執筆しているため、データの裏付けもあり、しっかりとそれぞれの専門的視点からテーマを深く掘り下げているので、読み応えがある。ブラジル人の研究者も執筆しており、地元からの視点は参考になる点が大である。ファベーラのことを知るうえでは必読本であろう。3619円と値段は高いが、その価値は十分あると思われる。