ノラ・ジョーンズがデビューして半年余り経った頃だろうか、僕の影響で
ビートルズ・ファンになった息子が教えてくれた。『ねえねえ、お父さん、
知ってる?ノラってラヴィ・シャンカールの娘なんだって!』というもので、
大いに驚いたものだ。そして父親の威光など全く当てにせず、自らの
力でデビューアルバムを大ヒットに導いたその姿勢に感動したものだ。
一方のアマンダは、いかにも現代っ子らしくその血筋の良さを隠すことは
しなかったようだが、デビューアルバム『ヒア・アイ・アム』を購入して
いるにも拘わらず全く気が付かなかった。と言うか、その頃はお母さんの
イリアーヌ・イリアスにさほど注目してなかったので、関連付けることが
なかったと言うのが正解だろう。その後も、二人のアルバムは洋盤でしか
買っておらずライナーも読まずで、つい最近まで気付くことはなかった。
お母さんのアルバムにマイケル・ブレッカーが参加しているのは知っては
いたが、amazonの解説を読んで初めて事実を知りこちらも大いに驚いた。
低い声でゆったりまったり歌うお母さんとは異なり、テンポ良く歌われる
その歌声は気持ち良いほど伸びやかだ。ジョアン・ジルベルトとミーシャ
の間に生まれたベベウ・ジルベルトを思い出したが、モダン・ボッサとも
言うべき新しい時代のブラジル音楽を感じさせる新鮮なサウンドだと思う。
「フェリシダーヂ」「おいしい水」などお馴染みのボサノバ名曲もあるが、
冒頭の「AiAiAiAiAi」のようなサンバ・テイストの溢れる曲も素晴らしい。
今回特に気に入ったのは、バックを名手オスカー・カストロ・ネヴィスの
ギター1本で、フランス語の原詩で歌われる「枯葉」。いやはや、こんな
唄い方も出来るとは、ジャケット写真に見られる美貌の成長の様子も
含め、将来がなんとも楽しみな歌手であることは間違いないだろう。