ジム・ジャームッシュ、スパイク・リーなどとともに当時、ひとくくりにニューヨーク・インディーズの走りと言われたこの監督・脚本・編集・出演(宇宙人の官吏役)を担当したジョン・セイルズだったが、彼らはとくにグループを作っていたわけでもないし、それまでの行き方は当然違っていた。 ジョン・セイルズは70年代にはハリウッドで『ピラニア』などの優れたB級映画の脚本を書いていながら、その後、放浪の作家生活に入り、書いた本で確か何かの賞なども得ている。その後の彼らの方向性の違いはもはや触れるまでもない。
1986年に日本初お目見えとなった本作(製作は84年)は、ジャームッシュの『ストレンジャー・ザン・パラダイス』とともに、その低予算かつ斬新な着想の作劇が軽い衝撃を持って世界中のオーディエンスに受け止められていたことは、今では懐かしい思い出だ。
ただ一群のNYインディーズ作品に通底していたのは、人種の違いを乗り越えた暖かいヒューマンな眼差しにあったことは重要なポイントだ。これがたとえば、60年代に登場したジョン・カサベテスやライオネル・ロゴーシンなど、ドライで非情なタッチのインディーズ・ムービーとの決定的な違いだったと思う。
未見の人のために本作の内容には一切触れない(予備知識なしで見るインディーズ作品の圧倒的な面白さを是非、味わってもらいたい)。
本DVDはHDマスターとあるものの、使われた素材がそもそもオリジナル・ネガもしくはそれに基づいたマスター・ポジではなかったらしく、決して悪画質というわけではないが、暗部が潰れぎみである。ナイトシーンが多い作品なので、これはかなりの減点だ。北米では2003年にMGMからDVD化されており、これが極めて高画質な商品だったので、よけいに日本盤の貧しさが強調されてしまった。それに北米盤はスクイーズ収録だが、本DVDはスタンダードのレターボックス収録だ。なぜ日本盤を出す際に、ハリウッド製のマスターを使用できないのか?原価をケチるということなら、最初から値段をもっと安くすべきだ。自分はサードパーティの安いところから買ったので、その点は助かっているが。