とにかく、読み応えのある量だ。
400頁近くで80種以上の作品が収録されている。
図解は最少限なので、本でマジックを学ぶことに慣れていない人には、
読み通すのにかなり骨が折れるのでは。
ボリュームある本書を通じて、
Br・J・ハーマンのマジックの特色がいくつか浮かび上がってくる。
ひとつは現象達成のために大胆な解決法をとるということ。
観客の裏をかく予想外の発想、という意味だけではなく、
現象上や手続き上の不具合をあまり気にしないというか。
どうやら好んで大胆さを取り入れているようで、
収録作品の6〜7割近くは“大胆”だ。
観客にツっこまれるのではと心配する人や、
自分で気になってしまう完全主義者は、
演じるのがはばかられる作品ばかりだろう。
ハーマンの代表作の一つ「ファイナル・エーセス」で、
P・ル=ポールを引っ掛けたという方法も紹介されているが、
・・・・これもかなり大胆でびっくりする(笑)
(「ファイナル・エーセス」自体は完成度が高く無理のない素晴らしい作品)
もうひとつの特色は、
一つの原理や現象を、極限まで活かそうとする徹底性、
とでもいったらよいか。
「スモールパケットでどこまで凄いことができるか?」
「ギミックをフル活用して4枚のカードで何ができるか?」
「あるフルデックセットの原理でできる究極の現象は?」
そういった問いかけから創作されたかのような印象の作品も多い。
悪い意味ではなく、実践性よりも
究極の現象、独自の現象ををめざそうとする
アマチュアリズムが強みといえようか。
ハーマンの不朽の名作も数々解説されているので、
(サインドカード、ミクロマクロ、ワイルドカードの原型、ファイナルエーセスなど)
その点だけでも満足できるとは思うが、
どちらかというと、ありきたりで堅実なカードマジックにものたりず、
より挑戦的なものを好む人向きだと思う。